Thu, 14 December 2017

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

AAスクール

ロンドン中心部・ベッドフォード広場の一画にひときわ異彩を放つ場所がある。その正体は「Architectural Association School of Architecture」、通称「AAスクール」と呼ばれる建築学校で、1847年の設立以来、150年の長きにわたり最先端のデザインを追求し続けている。そして同校は、これまでに世界の建築界をリードする数多くの著名な建築家を世に輩出している。


毎年製作される、校舎前のモニュメント

AAスクール出身の建築家

近年、AAスクールの名前を一躍世界に轟かせた卒業生の一人に、レム・コールハースというオランダ人がいる。設計集団「OMA」を統率し、一般常識を覆す挑発的な建築を作り続けている建築家だ。彼が最近手掛けた作品で、まもなく北京に完成する中国中央電視台本社ビルは、一見不安定に見える構造が話題を集めている。

また一昔前では、ロンドン・オリンピック・スタジアムの設計者であるピーター・クックがアヴァンギャルドな建築家集団「アーキグラム」を1961年に結成し、その「実作を造らない建築」というアイデア中心の未来的な思考がメディアを席捲した。他には、流線型の華麗なフォルムが持ち味の女性建築家ザハ・ハディドなど、デザイン界をリードする建築家を挙げるとキリがない。「ロイズ本社ビル」を設計したあのリチャード・ロジャース卿もAAスクール出身だ。


木製のモデルが並ぶ

世界屈指の建築学校

「AAディプロマ」と言えば、いわゆるAAスクールの建築教育を修了した証だ。16あるディプロマ・ユニットに所属する学生達は、各々の指導教官の元でプロジェクトを進める。既成概念に囚われない自由な発想はこの過程で養われると言っても過言ではなく、ディプロマ取得に要する5年間で、みっちりと「AAスピリット(デザインする精神)」を叩き込まれる。


新しい形態を模索する作品群

かつてAAスクールで10年間教鞭をとられた川上喜三郎氏は以前、この精神こそがデザインを追求する上で大切なのだと語って下さった。世界中から集まった教授陣、そして学生達の間では常に新しさを求めるディスカッションが繰り広げられている。また、その活動内容もAA出版から世に発信されている。建築家や構造家、理論家を招いての講演会や展示会が定期的に開催され、それらは一般にも公開されている。同校はまさに、最新デザインの発信源そのものなのだ。


校舎間を繋ぐ屋上空間にも作品が

プロジェクト・レビュー

毎年、この時期になると卒業シーズンを迎える。今年は7月5日から26日までの3週間、校内が一般公開され、卒業生を含む500人以上の学生の作品展が催される。ジョージアン様式の建物を改装した建物内にはコンピューターを駆使したドローイングや模型に、映像を重視したプレゼンテーションなど、学生達の集大成となる作品がところ狭しと陳列されている。そしてそれらの中には、「既成概念を打破する」AAスピリットが凝縮されているのだ。

AA School プロジェクト・レビュー
2008年7月5日(土)~26日(土) 月~金 10:00-19:00 土は15:00まで 無料
34-36 Bedford Square, London WC1B 3ES
最寄り駅: Tottenham Court Road駅

 
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藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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