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Sun, 18 August 2019

Life at the Royal Ballet バレエの細道 - 小林ひかる

第3回 私が住んだ国 パリ編「フランス人の気質」

5 August 2010 vol.1261

昨年の夏休み、パリオペラ座ガルニエ宮の大通りにて 昨年の夏休み、パリオペラ座ガルニエ宮の大通りにて

海外に出て、早くも17年が経とうとしています。

バレエ留学のため滞在したフランスのパリから始まり、一人前のプロとして生活を始めたスイスのチューリッヒ、オランダのアムステルダム、そして英国ロンドンへと渡り歩いてきました。それぞれに異なる生活習慣、食生活、人々の考え方、そしてバレエに対する姿勢は、どれをとっても本当に興味深いものです。


初の外国生活を送ることとなったフランスのパリは、今でも訪れるたびに第二の母国のような親しみを覚えます。しかし初めて訪れたときは、何もかもが日本と比べると正反対のように感じられ、驚きました。

これはあくまでも私が個人的に受けた印象であり、必ずしも皆さんが受ける印象ではないでしょうが、フランス人はまず、自分たちの国の言葉をしゃべらないと、仲間に入れようとしてくれません。例えば観光客が英語で質問をしてきても、受け答えは絶対フランス語。英語が話せる人でも、ガンとして英語を話そうとはしません。

ところが少しでもフランス語を話そうという姿勢を見せると、今度はがらりと態度が変わって急に親切になり、間違った発音などまでも直してくれるのです。

何と言ったら良いのでしょうか。彼らは自分たちの言語にものすごい誇りを持ち、その美しさに酔いしれている……。少しでも汚すことを許さない姿勢、プライドは、見事なものです。


芸術にしてもファッションにしても、まず美しくなくては、という彼ら。そこからスタートし、何か特別のものを個人のテイストで作り上げていく。それはバレエにも現われています。テクニックよりも質、足のラインの美しさを大事にするフランスのバレエ。ピルエット(回転技)などでは、回数よりも、どれだけ美しく回れるかが重視されます。また、足の少しの歪みなども見逃さない精密さなど、何か彼らの美意識に共通するものが見受けられます。


彼らの、自分の意見を通そうとする意志の強さ、たとえそれが間違っていたとしても、「ああ、でも私はそうは思わないから!」と言い切ってしまうところ、そしてよく聞く彼らの口癖、「C'est pas ma faute( 私のせいではない)」(正式にはCe n'est pas 〜となります)や、「Ce n'est pas mon probléme(私の問題じゃない)」、「Ce n'est pas mon travail(私の仕事じゃない)」——もうここまで来るとお手上げで、何を言っても聞いてもらえません。頑固なフランス人、何でも思ったことを口に出してしまう彼ら、でも私はそのストレートさが好きです。


今、こうして英国に住むようになって、フランスとの対比がよく見えるようになりました。英国に住んでいるとよく耳にするセリフ、「Ahhhh, like French people!」(ああー、フランス人みたい!)」。なぜ英国人は、そのようにフランス人を批判するのか、私はすんなり納得できるのです。

はっきりものを言いたがらない英国人に、言い過ぎるフランス人。私には、彼らが互いにいつも競い合っているように感じられるのですが、果たしてどうでしょう?

 
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小林ひかる
東京都出身。3歳でバレエを始める。15歳でパリ、オペラ座バレエ学校に留学。チューリッヒ・バレエ団、オランダ国立バレエ団を経て、2003年から英国ロイヤル・バレエ団に入団。09年ファースト・ソリストに昇進した。
今後のスケジュール
「Ashton's mixed program (La Valse)」 3月12、15、21日
「Apollo / New Wheeldon / New Ratmansky (Apollo)」 3月22日 から
(予定は突如変更になる場合があります)
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