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ロンドンのゲストハウス
Sun, 21 July 2019
ウェールズ西部 カーディガン町議会議員
島崎晃さん

[ 後編 ] 今春、ウェールズ西部の町の町議会議員となった島崎晃さん。彼が町議に立候補するに至るまでには、「日本人とよく似ている」という地元の人々と紡いできたいくつもの物語があった。大好きな町に帰ってきた彼を待ち受けていたものとは……。全2回の後編。
プロフィール
しまざきあきら - 1941年に栃木県の造り酒屋に生まれる。現在は、人口4500人のウェールズ西部の町カーディガン在住。学習院大学哲学科卒、ウェールズ大学大学院アベリストウィス校国際政治学科に留学。カーディガンでのカフェ経営、スコットランド、ナイジェリア、アルジェリアでのケータリング業務、日本でアンティーク販売などに携わった後にカーディガンへと戻り、日本語教師としての活動を始める。2000年に永住権を取得。2012年5月、英国からの独立を掲げるウェールズ民族党より、カーディガンの町議会議員選挙に出馬。2位で当選し、同町の町議会議員となった。地元では「Jack Bara Caws」のニックネームで知られている。

 

「商業ビザが下りなくなっちゃった。
仕方ないから帰った。本当に悔しかった」 

ウェールズ西部カーディガンの町をいったん離れ、スコットランドでも民族運動を学び、サハラ砂漠のど真ん中で働いて資金を作った後で第二の故郷カーディガンに帰郷した島崎さんが間もなくして受け取ったのは、自発的帰国を促す英内務省からの通達だった。「商業ビザが下りなくなっちゃった。申請の仕方も悪かったのだけれど、内務省も色々と処理を間違っていたんですよ。でも間違ったなんて絶対に認めない人たちだから。アハハー。仕方ないから日本に帰った。本当に悔しかった」。

ところが、1年後に持ち家の様子などを探るため再びカーディガンへと戻ると、入国管理局に勤めるスコットランド人の審査官が自分を探していたらしいとの話を耳にする。さっそくこの審査官を訪ねると、「特例としてあなたを助けたいと考えていた」と言うではないか。強制送還のような措置はあまりにひどいということで、滞在許可が下りる方法を色々と考えてくれていたらしい。特例を認めるために必要なことは2つ。一つは、労働ビザが比較的下りやすいと考えられる、日本語の指導を仕事とすること。これはすぐに実行し、自ら「ひどいもんだった」と形容する栃木訛りを直しながら、カレッジなどで教鞭を執り、英国特許庁長官と同庁の職員を指導するまでになった。もう一つは署名活動。驚くことに、2週間で1200名分の署名を集めることができた。面識がなくとも「名前を聞いたことがあるから」という理由で協力してくれたり、別の町まで出掛けて署名を集めてくれた人までいたという。「でもね、ビザは6年待っても来なかったの。地元の国会議員に手紙を書いて催促したら、書類が出てこないと言われて。アハハー。最終的には、これだけ長くいるんだからと永住権が下りた。アハハー」。

カーディガンの街並みを描いた絵<
島崎さんが永住権を獲得した際に、地元の人々がお金を出し合い、
プレゼントしてくれたというカーディガンの街並みを描いた絵

「ウェールズ人は日本人によく似ている。
謙虚で内向的、そしてはにかみ屋」

晴れて永住権を取得すると、パブを貸し切り、6年前に署名してくれた人々を招待してお祝いをした。そのころから、島崎さんをカーディガンの町長に推す声が出始める。「町長になるためには、まず町議会議員を経験しなきゃいけないんです。まあそんなことより、地元の皆さんにこれだけお世話になっているんだから、定年を迎えた一人身としては、立候補するのもいいんじゃないかって。地元の民族主義者を支持していたから、じゃあ民族党から出ましょうということになりました」。

そして、2012年5月に当選。「今の若い人にはピンとこないかもしれませんけどね、信じられないことですよ。戦争中は敵国だった国の人たちが日本人の私を町の議員に選んだのですから。立派な人たちですよねえ」。今は、日本語教師の仕事を続けながら、道路が狭く危険な区域に標識を取り付けたり、失業問題に悩む町を活性化するために大型駐車場を建設する案への賛同を求める署名活動を行ったりの毎日を過ごす。

「ウェールズ人は日本人によく似ている。謙虚で内向的、そしてはにかみ屋。石油も鉱物も出ないけど、水が豊富。50年ぐらいかけて取り組めば、ウェールズは独立できると思う」。

かつてはカーディガンの人々に大いに助けられ、今では彼らを助ける側に回ることになった島崎さん。彼とカーディガンの人々は、恩義と愛情を土台とした懸け橋で結ばれている。

抗議運動
地元の広場での建設工事に反対を示す抗議運動に参加する島崎さん

 
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