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Fri, 20 October 2017

第107回 メアリー・ローズ号とブルー・ジーンズ

今回ご紹介する2ポンド硬貨は、2011年発行のメアリー・ローズ号。1511年の進水から500年が経った記念です。同号は英国海軍の基盤を築いたヘンリー8世の最初の軍艦ですが、1545年に沈没した際の遺品の多くが1980年代に引き上げられ、話題になりました。3層の甲板に多数の大砲を搭載した帆船は当時の先端技術の結集ですが、大航海時代に出遅れた英国が海軍力の強化で巻き返しを図ったことを物語っています。

軍艦メアリー・ローズ号
軍艦メアリー・ローズ号

そもそも大航海時代は15世紀半ば、イスラム商人を経由せず東洋の物資を直接入手したいというスペイン、ポルトガルの野望で幕が開けました。羅針盤が伝わると、遠洋航海に耐え得る航海術と防衛手段の改良が必要に。そこで行ったのが帆の改革です。アラビア海で使われる三角の縦帆は機動力に優れ、北方バイキングが使う四角の横帆は順風での推進力がすごい。ならばと船を巨大化してを増やし、縦帆・横帆の両方を装備します。

技術革新
技術革新は 三角帆と四角帆の組み合わせ

当時は商船も海賊船も区別がつかず、航海には武装が必須でした。通例、青銅製の大砲が甲板に積載されますが、銅資源に乏しかった英国は廉価な鉄製大砲を試みます。欧州から鋳物職人を集め、硫黄分が少なくリンを多く含む鉄鉱石から、小型で軽量の大砲を開発。重い青銅製大砲は装填に時間がかかりますが、小型の鉄製大砲ならば複層甲板の砲門にたくさん配備できて装填も速い。こうして英国の軍艦技術は、世界をリードしていきます。

小型大砲
英国は鉄製の小型大砲を開発した

さて、帆の話を広げましょう。帆布は汎用性に優れ、オーニング(日よけ)、デッキチェア、風車の羽根やテント、馬車の幌、画材キャンバスにも使われました。上質の帆布の積出港として有名だったイタリア・ジェノバでは、近隣の南仏ニームの綾織(仏語セルジュ・デ・ニームが短縮されてデニム)や地元のファスチアン織(ジェノバの仏語読み「ジェン」、英語で「ジーン」)の船員服が愛用され、帆布とともにこれらの生地も輸出されました。

オーニング
オーニングも帆から生まれた

19世紀半ば、ゴールドラッシュで米国西海岸に開拓者が押し寄せると、ドイツ移民リーバイ・ストラウス氏はテントなどの帆布製品を売り込みます。特にデニム織のパンツが作業服として大ヒット。デニム織の積出港ジェノバと結び付いたのか、ファスチアン織のジーンと混同したのか、その服はジーンズと呼ばれるようになりました。最近、シティでもブルー・ジーンズを履いている人たちを見掛けます。ジェノバや帆布と関連があったのかと、少々、帆を広げ過ぎ。

ジーンズ姿
シティのオフィスでもジーンズ姿を見掛けるように

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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