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Tue, 20 August 2019

音楽の祭典プロムスを楽しむためのABC

「クラシック音楽の鑑賞といった高尚な趣味はどうも気後れする」
なんて思っているあなたへ。そんな方たちのためにこそ、クラシック音楽の祭典「プロムス」はある。約2カ月にわたって、一流の演奏家たちばかりが登場する豪華なプログラムの数々を、わずか5 ポンドの当日券で鑑賞できる機会など滅多にない。音楽的な教養が十分にないからとこれまで二の足を踏んでいた人が、ミーハーな好奇心を頼りにして出掛けるには打ってつけのイベントだ。そこで本誌では、プロムスを存分に楽しむための情報を2週にわたって紹介。
今年はクラシック音楽漬けの夏を過ごそう。

Aプロムスを楽しむためのABC
プロムスがどんなイベントなのかを知る

英国で最大規模のクラシック音楽祭

ガイドブック
英国内の各書店で購入できる
プロムスの公式ガイドブック

プロムスとは、世界中が注目する、英国で最大のクラシック音楽祭。今年は、7月15日から9月10日まで行われる。この約2カ月の間に、ロンドン中心部のコンサート・ホールであるロイヤル・アルバート・ホールを中心として、同市内で実に100近くのクラシック音楽コンサートや関連イベントを開催。世界各国から一流の音楽家たちを招く、国際的なイベントとして知られている。

誰もがチケットを安く平等に購入できる

日本でクラシック音楽のコンサートというと、チケットはどれも高額で、しかも数カ月も前から予約しなければいけない場合が多い。ところが、プロムスには「プロミング・チケット」なる格安の当日券がある。「アリーナ」と呼ばれるオーケストラの目の前にある立見席か、もしくは「ギャラリー」というオーケストラから遠く離れた天井座敷のやはり立見席の値段がなんと5ポンド。予約がどれだけ殺到しようと必ず当日券が確保されているから、当日券待ちの行列さえ厭わなければ、誰もが平等にチケットを入手することができる。前売りされる着席券も7.5〜90ポンドと、良心的な価格で販売されている。

ラスト・ナイトは国民的行事

最終日にロイヤル・アルバート・ホールで行われ、テレビでも全国中継される「ラスト・ナイト」及びハイド・パークに巨大スクリーンを設置してその模様を同時中継する「プロムス・イン・ザ・パーク」は、国民的行事となっている。特に観衆が手をつないで英国国歌を合唱する大興奮のフィナーレは必見。

プロムス
左上写真: 主な会場となるロイヤル・アルバート・ホール
左下: 国民的行事となる「ラスト・ナイト」
右: アリス・沙良・オットー(左から2人目)など今年の出演者たち

Bプロムスを楽しむためのABC
チケットをどう買うのかを学ぶ

以下のいずれかの方法でプロムスのチケットが購入できる。

前売券の買い方

ボックス・オフィスで直接予約
The Royal Albert Hall Box Office at Door 12, London SW7 2AP
受付時間: 9:00-21:00

電話で予約
Tel: 0845 401 5040
受付時間: 9:00-21:00

ウェブサイトで予約
プロムスの公式ウェブサイト(www.bbc.co.uk/proms)より購入可能。
その際、個人アカウントの開設を求められる。
*その他「Season Tickets」「Weekend Promming Pass」「Same-Day Savers」「Kids Go Half-Price」などの割引チケットもあり。
詳細は公式ウェブサイトを参照。


当日券の買い方

当日のコンサート開演2時間半〜30分前より、500席以上の当日券が売り出される。すべて早い者勝ちだから、手に入れたい人は早めに行って並ぶしか方法はない。当日券は一人1枚のみ購入可能。ロイヤル・アルバート・ホールのドア11(アリーナ席)またはドア10(ギャラリー席)の前に並ぶ。


ラスト・ナイトのチケットの買い方

大人気のチケットであるため、通常とはチケットの購入方法が異なる。

抽選に申し込む
以下のサイトからダウンロードできる用紙に必要事項を記入し、郵送で申し込む
http://downloads.bbc.co.uk/radio3/proms-assets/features/last-night-booking/proms2011-last-night-ballot-form.pdf

事前に5つ以上のその他のプログラムのチケットを購入する
プロムスにおける5つ以上のコンサート(何人分を購入したかは問われない)のチケットを購入すると、「ラスト・ナイト」のチケットを購入する資格が得られるという仕組みになっている。プロムスの公式ウェブサイトに開設した個人アカウントの購入記録などを証明として、7月19日以降に発売されるラスト・ナイトの前売券を購入する。

当日券を購入する
その他のプログラムと同様に、ラスト・ナイトの当日券も基本的にすべて立見席となる。この当日券を求めて、例年、ロイヤル・アルバート・ホールのドア11(アリーナ席)またはドア10(ギャラリー席)の前には、徹夜組を含む長蛇の列ができる。

Cプロムスを楽しむためのABC
どんなアーティストが出演するのかを調べる

ミーハーなあなたの心をぐっとつかむ
プロムスのスターたち

ヨー・ヨー・マヨー・ヨー・マ
Yo-Yo Ma

チェリスト

そのチェロの音色は一生の思い出になる

クラシック音楽に全く興味がないという人でも、その名前には聞き覚えがあるだろう。21世紀を生きる最も偉大な音楽家の一人と称えられる中国系米国人チェリストが、ヨーヨー・マ。音楽家の両親の間に生まれたというこのクラシック界のサラブレッドは、そのあまりに卓越した音楽的才能ゆえに、米国の名門ジュリアード音楽院の指導者に「君に教えることなど何もない」と言われたとの逸話を持っている。

7歳のときにケネディ米大統領の前で演奏を披露し、2009年にはオバマ氏の大統領就任式でもピアニストとしての大役を務めている。さらにはロック歌手のスティングや、意外なところでは日本の歌舞伎役者である坂東玉三郎ともコラボレーションを行ったことがあるとか。ともかく、世界の権力者や著名人たちから引っ張りだこなのだ。「ヨーヨー・マの生演奏をロンドンで聴いた」となれば、一生涯の思い出になること請け合い。

今年のプロムスでの彼のコンサートの前売券は、現時点で既に売り切れ。ただ当日券を得るチャンスはまだある。長蛇の列に並ぶだけの価値あり。

・Proms Chamber Music 7: Yo-Yo Ma & Kathryn Stott
8月29日(月)13:00
会場: CH
曲目: ラフマニノフ「チェロ・ソナタト短調作品19」ほか

・Prom 61: Fitkin & Beethoven
8月31日(水)19:30 
会場: RAH
曲目: ベートーベン「交響曲第9番ニ短調作品125(合唱付き)」ほか

ラン・ランラン・ラン
Lang Lang

ピアニスト

アクロバティックな顔芸に秀でた貴公子

随分と響きの可愛げな名前を持つ28歳の中国人アーティスト、ラン・ラン。現在のクラシック音楽界において、時代の寵児となっている存在だ。北京五輪の開幕式で演奏を披露したピアニストと聞けば、ミーハーな好奇心がうずいてくるはず。今年のプロムスの目玉として、最終日に開催される「プロムス・イン・ザ・パーク」と「ラスト・ナイト」に出演する。

ショパン、リスト、ラフマニノフといった超絶技巧を要する人気作曲家の曲目を弾きこなす確かな技術に加えて、華やかなパフォーマンスで人気の彼。とりわけ、演奏中のアクロバティックな体の動きは、まるでロック・ミュージシャンのよう。テンポの速い曲は、何やら口元でラップしながらヘッド・バンギング。静かなバラードともなれば、天を仰ぎながら恍惚の表情を浮かべる。音楽の世界に入り込むあまりに、栄養満点の血色良い顔の表情を百面相のように次々と変えていくその顔芸も必見。たとえ演奏する曲目を一つも知らずとも、彼の動きを観ているだけで楽しくなってくる、そんな幸せを運ぶピアニストだ。

・Proms in the Park -Hyde Park-
9月10日(土)17:30 
会場: ハイド・パーク
出演: BBCコンサート・オーケストラほか

・Prom 74: Last Night of the Proms 2011
9月10日(土)19:30 
会場: RAH
曲目 : リスト「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」ショパン、「華麗なる大ポロネーズ作品22」ほか

キャサリン・ジェンキンスキャサリン・ジェンキンス
Katherine Jenkins

メゾ・ソプラノ歌手

美貌・知性・美声を併せ持つ歌姫

英国ではダントツ一番、ひょっとすると世界一美しいオペラ歌手ではないかと言われる、ウェールズ出身のメゾ・ソプラノ。オペラ歌手離れした、眩し過ぎる笑顔とスレンダーかつ豊満な肢体。その美しい容姿を生かして、オペラ歌手として成功する前には、メイクアップ・モデルやツアー・ガイドとして働いていたという。男性陣に人気があるのは当然で、イラクに駐留する英軍基地の慰問や、地元ウェールズでラグビー代表の試合が行われる際の国歌斉唱など、マッチョな男たちが集まる場で清涼剤のような役割を担う機会も多い。

英国人の間で大人気を集める彼女のCDは軒並み売上1位を記録していて、既に1100万ポンド(約14億5000万円)もの個人資産を築いたという。また、長所は外見の美しさだけに留まらず。知性に優れていることでも知られ、名門と言われる王立音楽院を優等の成績で卒業。イタリア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語を話す秀才でもある。美貌、キャリア、知性を手に入れた、まさに女性の鏡。美しき歌声と容姿で酔わせてくれる歌姫なり。

・Proms in the Park -Hyde Park-
9月10日(土)17:30 
会場: ハイド・パーク
出演: BBCコンサート・オーケストラほか

アリス・沙良・オットーアリス・沙良・オットー
Alice Sara Ott

ピアニスト

超絶技巧の日独ハーフ美女

英国の美女代表がキャサリン・ジェンキンスならば、日本代表はこの人。とはいっても、ドイツ人の父と日本人の母の間に生まれたハーフだが。純情で素朴な癒し系の容姿に反して、リストなどの超絶技巧を要する曲を得意とする。1995年以降に出場したコンクールでは続け様に第1位となるなど、道場破りならぬコンクール破りの闘争心をも併せ持つというから意外にハングリー精神旺盛。またサブカルチャーに造詣が深く、ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンといった英国のロック音楽が大好き。ドイツ語と日本語ともに流暢に話し、漫画「はだしのゲン」や映画「羅生門」を好きな作品として挙げている。

ドイツで生まれ育ち、日本の著名ピアニスト、中村紘子によってその才能を見い出されて、日本でデビューを果たすに至った。以来、「情熱大陸」や「徹子の部屋」さらにはNHKのドイツ語学習講座などの人気テレビ番組への出演を果たしているので、テレビで彼女の顔を目にしたことがあるという日本人は多いだろう。そんな彼女のコンサートのチケットを日本で入手するのは困難。ならば英国でプロムスに行くべし。

・Prom 33: Sibelius, Grieg & Nielsen
8月8日(月)19:30 
会場: RAH
曲目: シベリウス「交響曲第6番ニ短調」ほか

ティム・ミンチンティム・ミンチン
Tim Minchin

コメディアン

ふざけているのにすごく巧い

ワイルドな長髪、無精ひげにヘビメタのようなド派手なメイクに、なぜか裸足。そんなシュールな出で立ちを基本的なファッション・スタイルとする彼の職業は、何を隠そうお笑い音楽アーティスト。毒に満ちたジョークを含む自作の歌詞を、自作のメロディーや替え歌にのせて弾き語りするというのが、彼の芸である。英国ではテレビにラジオにライブにと大忙しの人気者だから、英国に暮らしている人であれば、この奇抜な男の顔をどこかで見たことがあるはず。ただ「お笑い」とはいっても、侮るなかれ、技術は超一流。下らないネタを披露しているのに歌もピアノも妙に巧い、というギャップが余計におかしみを誘う。

その芸について唯一と言っていいほどの難点を挙げるとすれば、ジョークを英語の歌詞にのせて歌うというパフォーマンスの醍醐味は、英語の聞き取りに自信がない人には十分に理解できないかもしれない。ただ観客は大盛り上がりになること請け合いなので、雰囲気を味わうだけでも楽しい一夜を過ごすことができるはず。「こんなに巧いアーティストがお笑いなの?」と、英国における音楽業界の裾野の広さを実感すること間違いなし。

・Prom 40: Comedy Prom
8月13日(土)19:30 
会場: RAH
出演: BBCコンサート・オーケストラほか

五嶋みどり五嶋みどり
Midori

ヴァイオリニスト

批評家をうならす正確無比な世界のMidori

幼少期に「怪物」または「天才少女」と呼ばれてデビューした衝撃性。どの国でも演奏会を開けば現地の人々で観客席が埋まる国際性。何よりも批評家をもうならす正確無比な演奏。「Midori」の名前を知らぬクラシック音楽の愛好家などいない。日本が世界に誇るヴァイオリニストが五嶋みどりだ。

ヴァイオリニストの母による幼少期からのスパルタ指導を受けたという彼女は、世界最高レベルの音楽教育を受けるため、10歳のときに母娘2人きりで渡米。11歳でデビューを果たし、14歳のときには20世紀のスター音楽家バーンスタインの指揮の下で演奏している。そのとき、自身のヴァイオリンの弦が2度も切れてしまったため、ほかのヴァイオリン奏者のヴァイオリンを奪って演奏を続けたという「タングルウッドの奇跡」は、後世に語り継がれる出来事となった。

評価の厳しいことで知られる英国人批評家たちまでもが、一様に五嶋みどりの確かな技術と豊かな音楽性を称える。彼女の演奏会では、観客が幸福のため息を漏らす音が聞こえることも。クラシック音楽の真髄に触れたいなら、彼女の演奏会へ。

・Prom 21: Strauss, Walton & Prokofiev
7月30日(土)19:30 
会場: RAH
曲目: プロコフィエフ「カンタータ『アレクサンドル・ネフスキー 』作品78ほか

コリン・デービスコリン・デービス
Colin Davis

指揮者

苦労人の人生観が生み出す深い音楽

英国のクラシック音楽に関する情報誌を読んだり、クラシック音楽専門ラジオ局「Classic FM」を聴いたりしていると、「コリン・デービス」の名をよく目にしたり耳にしたりする。間違いなく、現代の英国を代表する音楽家だ。

7人兄弟の貧しい家庭に生まれたがゆえに、ピアノを買うお金がないということで、代わりにクラリネットを習い始めたという。また早くから指揮者になることを夢見ていた彼は、奨学金を得てロンドンの王立音楽院に入学するも、ピアノを演奏できないことを理由に指揮法の履修を禁じられてしまった。やっとの思いで卒業できたと思ったら、今度は徴兵。しかし、陸軍軍楽隊に所属することで、その才能を伸ばし続けた。

フリーランス指揮者として活動した後、BBC交響楽団、ロイヤル・オペラ・ハウス、ボストン交響楽団といった世界中の名立たる楽団の指揮を務め、1998年からは、英国随一のオーケストラと言われるロンドン交響楽団の首席指揮者に就任し、今や英国を代表する音楽家となった。波乱万丈の人生を歩んだ彼だからこそ創り出すことのできる、深い音楽の世界がきっとある。

・Proms 53: Stravinsky, Ravel & Tchaikovsky
8月24日(水)19:00 
会場: RAH
曲目: チャイコフスキー「交響曲第4番ヘ短調 作品36」ほか

・Prom 67: Beethoven - Missa Solemnis
9月4日(日)19:00 
会場: RAH
曲目: ベートーベン「ミサ・ソレムニス」

シモン・ボリバル交響楽団シモン・ボリバル交響楽団
Simón Bolívar Symphony Orchestra

オーケストラ

おとぎ話のようなオーケストラ

シモン・ボリバル交響楽団とは、ベネズエラに本拠地を置く青少年楽団の名前。そう聞いて、「なんだ、子供たちの演奏か」と思うなかれ。コンサートを開くとなればチケットは即座に売り切れとなる、世界中で大人気のオーケストラなのだから。

べネズエラでは、貧困層に属する10〜20代の若者に、無料で楽器を賃与して音楽教育を施すという制度がある。彼らの中には麻薬密売や強盗などの凶悪犯罪に関わったストリート・チルドレンもいるのだが、そうした非行少年たちをも音楽の力で更生させようというのが狙いだ。その制度を利用した同国内の約200あるオーケストラの中から優等生を選抜して構成したのが、このオーケストラというわけ。ちなみに、同楽団の音楽監督として指揮を務めるグスターボ・ドゥダメル自身もその出身。

曲によっては楽員たちが舞台の上を一斉に練り歩きながら演奏したり、突然立ったり座ったりを繰り返すなど、斬新で驚きに満ちた演出でも知られる。既に前売券は売切れだから、あとは当日券の入手に賭けるしかない。彼らのエンターテイメント性が存分に発揮される、アンコール演奏に期待。

・Prom 29:Simón Bolívar Symphony Orchestra plays Mahler
8月5日(金)19:30 
会場: RAH
曲目: マーラー「交響曲第2番ハ短調『復活』」

※「Prom1」などの表記は、プログラム番号。
RAH=The Royal Albert Hall, Kensington Gore,London SW7 2AP 
CH=Cadogan Hall, 5 Sloane Terrace, London SW1X 9DQ

 
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