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Tue, 12 November 2024

日本酒・日本食を世界の人へ - 地酒試飲&ディナー

日本の文化は食にあり。「SUSHI」に始まり、「おいしい」「ヘルシー」などの合言葉で世界的に広まった日本食は今、ブームの域を超えてグルメ界で確固たる地位を築きつつある。そして、その深い味わいで多くの愛飲家を虜にしている「酒」もまた、日本食の代表格の一つ。ワインやビールの文化が根付くここ欧州で、美食家たちの舌を唸らせる極上の日本酒と日本料理の魅力を余すところなく紹介するイベントが去る3月12日、ドイツのデュッセルドルフで開かれた。

JFC主催の日本応援イベント

料理今回のイベントを主催したのは、欧州のレストランや食料品店などを対象に日本食品の卸業を営むJFC EUROPEグループ。同社は3~4月に掛けて、東日本大震災から1年という節目を機に、日本食のさらなる普及・浸透を通して日本を応援する取り組みを欧州全土で展開している。その一環として、同社が特に販売促進に力を注ぐ地酒と日本食との相性の良さを日欧の人々に実感してもらおうと企画されたのが、この夕食会だ。招待客は、JFCと日頃取引のあるレストランのオーナーを始め、利き酒師、ソムリエ、ホテルのオーナーシェフなど業界通ばかり。日本料理レストラン「NAGAYA」を会場に、同社を通して欧州展開を図る5つの酒蔵が厳選する日本酒を、蔵元直々の説明を聞きながら、長屋佳澄シェフが腕によりを掛けて作る料理の数々とともに味わうという至極贅沢な会となった。

レストラン NAGAYA
ドイツで日本料理レストランとして唯一ミシュランの星を持つ長屋シェフ。「日本応援」というイベントの趣旨に賛同し、企画段階から参画。参加者に、多種多様な日本酒に合う10品以上のコース料理を提供した。
www.nagaya.de

参加酒蔵と紹介された日本酒

中島醸造(岐阜県)
小左衛門 特別純米 美山錦「小左衛門 特別純米 美山錦」
「始禄 ゆず酒 純米酒」

清らかな水と上質な米を基に醸される「小左衛門」は、全員30代という若き作り手たちの情熱がたっぷり込められた酒。食事のひとときを楽しく盛り上げる名脇役だ。芳醇なゆずの香り漂う「始禄 ゆず酒」は食前・食後酒に最適。
www.kozaemon.jp


秋田清酒(秋田県)
やまとしずく 山廃純米酒「やまとしずく 純米吟醸」
「やまとしずく 山廃純米酒」

秋田県南部の雪深い土地で、1865年の創業当初から伊藤家が代々伝統を受け継いできた酒蔵。「やまとしずく」は、料理の味を邪魔せず引き立てる、香り控えめのやさしい味。この酒造では地産地消を目指し、地元産の原料のみを使用している。
www.igeta.jp


新藤酒造(山形県)
やまとしずく 山廃純米酒「裏・雅山流 楓華 純米生詰め」

世界最大のワイン・コンテスト、国際ワインチャレンジ(IWC)の吟醸酒部門で金賞トロフィーを受賞した経歴を持つ雅山流。軽やかで芳醇な香りの酒は、常に変化を求め、自由な発想で酒造りに挑み続ける酒造の勢いと活力を感じさせる。
www.kurouzaemon.com

月山酒造(山形県)
「銀嶺月山 月山の雪 純米吟醸」「銀嶺月山 ささら月 純米酒」
「銀嶺月山 月山の雪 純米吟醸」

蔵人以下、米から麹、酵母まで、徹底して山形産という、「顔の見える原料」にこだわる酒造。日本名水百選に選ばれている出羽月山の雪解け水と最高級の酒造好適米「出羽の里」が、自然の厳しさを内包する凛とした香りの酒を生む。
www.gassan-sake.co.jp


三和酒造(静岡県)
臥龍梅 純米吟醸 山田錦「臥龍梅 純米吟醸 山田錦」
「臥龍梅 純米吟醸 五百万石」

おいしい酒を新しいコンセプトの下で造るべく現社長が編み出したのが、全品種の醸造工程を統一し、米の品種だけ変える手法。醸造には一切手を抜かず、醸造後は余計な手を掛けない酒は、米の個性が最大限に生かされた純粋な味わい。
www.garyubai.com


*上記の地酒は、欧州各地の日本食レストランでお召し上がりいただけます。
レストランにお問い合わせの上、ぜひ最高の地酒をお楽しみください。

体験記 元気な日本食を欧州へ

JFC EUROPEの清松社長
夕食会の冒頭で挨拶する
JFC EUROPEの清松社長

「この甘みはどこから来るのですか?」「Sake Meter(日本酒度)とは何のことですか?」
── 各料理に合わせて注がれる日本酒を試飲する参加者の表情は、真剣そのもの。会場は、それぞれの酒を吟味し、特徴を知り尽くした上で納得のいくものを消費者へ届けたいと願うプロたちによる、れっきとしたビジネスの場だった。  

東日本大震災発生後、日本から欧州への 食品輸出は一時期、困難を極めたという。しかし、あれから1年が経ち、当地の日本食産業は着実に再興隆の兆しを見せている。そこで今一度、欧州で日本食文化を盛り上げることで日本の復興を応援しようと立ち上がったJFCと、その熱意に賛同した人々により実現した今回の地酒試飲とディナーの会。その盛況ぶりは、日本食のパワーと健在ぶりを肌で感じさせてくれた。  

試飲中
真剣な表情で試飲をする参加者たち

仕込みのため来独が叶わなかった新藤酒造を除く4つの蔵元による紹介が、酒の味に説得力を持たせる。「キレのあるシャープなタイプのお酒」と言われれば米の力強さが感じられ、「さらっと飲める軽い口当たりのお酒」と聞けば、口に含んだ瞬間に爽やかな香りが広がり、すっと喉を通る感触が心地良い。そして何より、蔵人が発する一言一言から造り手の息遣いが伝わり、「このお酒には蔵人の魂が宿っている」と実感するのだ。「手造り」の地酒だからこそ味わえる温もりとも言えるだろうか。  

そして、酒の味をより豊かにしてくれたのが長屋佳澄シェフによる絶品の料理。魚介や肉、その他和洋の多彩な食材を使った品々は、目と舌で楽しむ日本料理の醍醐味を最大限に生かした芸術品でありながら、日本酒の存在を隅に追いやることなく、互いに引き立て合う。遠くはドバイ、そして欧州各地から集まった参加者たちは、各料理と酒の相性だけでなく、冷酒と熱燗、ぬる燗の差異や、米の品種の違いが酒の味に与える影響など、日本食、日本酒の奥深さと可能性を自らの舌で感じ取っていた。  

牛フィレ
長屋シェフが提供した絶品料理。
フランス産シャロレー牛フィレ

イベントを主催したJFCの清松直之社長は、「(日本を応援する活動は)1人や1社ではなかなか困難ですが、皆の力を合わせればできると思っています」と語る。徹底した品質管理の下、良好な状態で高品質な食品を日本から欧州へ卸している同社は、今回の取り組みを機に、欧州でより一層の日本食文化の浸透を図りたい意向だ。それが日本の元気につながれば……。日本食伝道師たちの飽くなき挑戦は続く。

(編集部:林 康子)

日本食で日本を応援!
JFCでは現在、食品販売の収益の一部を被災地の支援活動団体へ寄付する取り組みを展開中。お近くの日系・アジア系食料品店で日本食品をお買い上げの際は、以下のシール及び店頭ポスターにご注目!おいしい日本の味に触れて、皆で一緒に日本を応援しましょう!

 

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