年金メガファンド創設へ法案提出
国内投資拡大で成長促進
2030年を目標に
歳出見直し案を議会に提出するため、ダウニング街11番地から出るレイチェル・リーブス財務相
(ロンドン 6月6日 時事)政府は5日、複数の小規模年金基金を連携・統合し、メガファンドの創設を促す年金制度法案を議会下院に提出した。年金基金による国内投資の減少に歯止めをかけ、2030年には国内のインフラや急成長企業に対し、500億ポンド(約9 兆7500億円)を超える投資を確保。経済成長につなげたい考えだ。
政府によると、年金基金の国内投資は年々縮小。12年に確定拠出型(DC)年金資産の50%以上を占めた国内投資は、23年に約20%に低下した。リーブス財務相は投資の欠如が英経済を停滞させてきたと指摘。国内のクリーンエネルギー事業や先端企業などへの投資拡大が課題となっている。
同法案は、複数事業主によるDC制度と地方自治体年金制度(LGPS)が対象。1000ポンド以下の少額年金積立金を一つの年金制度に統合し、30年までに250億ポンド以上の資産を管理するメガファンドを創設する。コスト削減や多様な資産への投資ができるようになるほか、年金貯蓄者の利回り向上にもつながると見込む。
政府の同法案提出に先立ち、DC積立貯蓄者の約9割を占める17のDC機関は先月13日、国内投資の拡大を目指す「マンションハウス合意」に署名。少なくとも資産の5%を国内企業やインフラ事業への投資に充てると自主的に誓約した。政府はこれにより、30年には260億ポンドの投資が行われると試算する。
実際の投資規模は縮小か
政府系諮問機関の試算によれば、年金改革や成長資金の目標額として政府が掲げた投資基金額1600億ポンド(約31兆円)は、実際には約110億ポンドにとどまる可能性があるという。7日付の「ガーディアン」紙が報じた。