(ロンドン 6月10日 時事)政府は10日、フランス電力大手EDFが計画する英東部サイズウェルC原子力発電所の建設を含む原子力事業への投資方針を発表した。今後3年で同原発に142億ポンド(約2兆8000億円)を新たに投じることが柱。安定供給可能な低炭素電力を拡充し、エネルギー安全保障の強化と温室効果ガス排出量の実質ゼロ化の両立を目指す。
英国内では1995年以降、原発が新設されておらず、EDFの加圧水型原子炉を除く既存の原発は、老朽化で2030年までに廃止される見通し。政府は同年までにクリーン電力の比率を95%以上に引き上げる方針を示しており、ロシアのウクライナ侵攻を背景にエネルギー安保の重要性が高まるなか、原発新設が喫緊の課題となっている。
サイズウェルC原発の容量は3.2ギガワット(GW)で、600万世帯相当に電力を供給できると見込まれている。
財務省によると、過去2年間に36億ポンドを投じており、投資額は178億ポンドに増額される。資金は政府支出とEDFを含む民間から調達し、最終決定は今夏行われるという。英メディアは建設費用について、最終的に消費者の電気料金で賄われ、60年間の稼働期間中、月1ポンドが上乗せされる見込みと報じている。
政府はまた、民間が主導する英国初の小型モジュール炉(SMR)建設の支援に向け、3億ポンドを確保。商業規模での技術開発を目的とした核融合エネルギーの研究開発にも5年間で25億ポンドを投じる。
Tue, 24 June 2025