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ロンドンのゲストハウス
Sat, 17 August 2019
ロビン・ジェレミー・ウィリアムズさんと鈴木郁子さん自然農法で日本の野菜を栽培する
「Namayasai」を経営
ロビン・ジェレミー・ウィリアムズさん
鈴木郁子さん

[ 後編 ]イングランド南東部の街を拠点とし、自然農法で日本の野菜を栽培する事業「Namayasai」。新鮮な野菜をその日のうちに配送先へと届けるために、収穫期には一般的な社会人の就寝時刻に起床して作業を始めるという2人の一日の様子を紹介する。全2回の後編。
プロフィール
ロビン・ジェレミー・ウィリアムズ すずきいくこ-イングランド南西部デボン州に生まれ、小売業を経てITエンジニアとして働いていたウィリアムズさんと、大分県出身、中学教員を経て国際協力事業に携わっていた鈴木さんが、2004年にイングランド南東部ルイスにて自然農法で日本の野菜を栽培する事業「Namayasai」を設立。2011年より近郊のクックスブリッジにある畑を拠点として活動を行う。大根、かぶ、みずな、にら、春菊など、朝に収穫した日本野菜をその日のうちにロンドン各地に点在する配達ポイントへと定期的に送り届け、販売している。
Tel: 01273 470 667 
www.namayasai.co.uk

 

まるで大地に絵の具をのせていくよう

農家の朝は早い。ウィリアムズさんと鈴木さんも、繁忙期には午前1時前後に起床。交通騒音とは無縁の真っ暗闇に包まれた畑をヘッドランプの光で照らしながら、収穫の作業に取り掛かる。夜明け前には、辺りから鳥のさえずりが聴こえてくるのだという。ときには東の空に上る太陽と、西の空に沈みゆく月を同時に眺めることもあるそうだ。

そして畑の風景は、季節とともにゆっくりと、しかし確実に移ろう。冬はまっさらだった大地が、種をまき、苗を植えていくうちに徐々に野菜で覆われ、さらには様々な花が彩りを添えるようになる。その様子は、まるで大地に絵の具をのせていくかのようだ。

昼どきになれば、自宅から持ってきたお弁当箱を取り出して、自分の畑で収穫した野菜のサラダを頬張る。自宅に戻って食べる夕食の食卓に並ぶのも、見かけが悪いために出荷を見送ったものの味も栄養もそん色のない野菜が中心だ。ローストしたり、煮込んだり、醤油で和風に仕上げたり、トマト・ソースで洋風にしたり。野菜本来の味と香りがあるからこそ、どんな調理法でもおいしく食べることができるのだろう。

その日に収穫した野菜を届ける

マーケット
マーケットに並べられた、収穫したばかりの野菜の数々

収穫した野菜はその日のうちにロンドン市内へと届けるというのが、Namayasaiのモットーだ。家庭菜園の愛好者であれば誰しも、愛情を込めて大切に育て上げた、それも収穫したばかりの野菜を口にしたときの感動的なまでのおいしさを知っているだろう。ウィリアムズさんと鈴木さんは、言わばその「感動」を定期的にロンドンへと送り届けていることになる。配達先は、名だたる高級日本食レストランから、日本企業のオフィス、または共同購入の申し込みをした代表者の自宅まで様々。注文量によって小型トラックで運ぶこともあれば、鈴木さんが「かつての行商さんみたい」と言うように、バスや電車など公共の交通機関を利用しつつ、野菜を詰め込んだ段ボールを台車に乗せて引きながらロンドン市内を回ることもある。

育てて、届けてしまえば一日の仕事が終わるというわけではない。レストランのシェフの中には、初めて目にする日本野菜をどう調理していいかよく分からない人もいる。そうしたシェフに対しては、鈴木さんが素材の使い方についてのアドバイスを提供するのだという。さらにイングランド南東部ブライトン近郊のクックスブリッジにある畑においては後進の指導にも当たっており、住み込みで働くインターン生を集めて、自然農法の実践指導も行っている。

調理法のアドバイス
日本野菜の調理法などのアドバイスを行うのも大切な仕事

ユネスコ無形文化遺産にも登録され、世界で稀に見る長寿大国の国民が食べる健康的な食事として、世界中から称賛されている日本食。つい最近まで食文化に乏しい代表国という不名誉な評判を得ていた英国の首都であるロンドンは今やグルメ都市へと変貌を遂げつつあり、日本食レストランの存在はもはや珍しくなくなった。そして日本食は、食や健康に配慮する英国人にとっての必須アイテムとなった感さえある。しかし、その日本の食材を、ここ英国において本当の意味でおいしく、新鮮で栄養的にも優れている状態で食すというのは、実は今でも決して簡単なことではない。だからこそ、その本当のおいしさを実現するために、文字通り泥だらけになって、自然農法による日本野菜の栽培に没頭している人たちがいるのだ。私たちが、ロンドンの日本食レストランであっという間に胃に消化してしまうあの食材には、たくさんの物語と思いが詰まっている。

 

 
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