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Wed, 20 November 2019

英国の新時代率いる豪華顔ぶれブラウン内閣 Who's Who

1997年から首相を務めてきたトニー・ブレア氏の辞任に伴い、6月末に発足したブラウン政権。ゴードン・ブラウン首相は、首相就任の翌日である6月28日、さっそく第一次閣僚名簿を発表した。今回は、英国政界の新たな扉を開くべく集合をかけられた彼ら内閣メンバーの中から10人の顔ぶれを、新首相、首相夫人と共に一挙に紹介。今後の英国政治の要となる彼らを知れば、明日からニュースがもっと面白くなるかもしれない!?(猫山はるこ)

前政権からの決別示す人選に注目   ブラウン内閣鳥瞰図

ブラウン首相による最初の内閣改造は、「近代の英国政治史上最大」と言われる、大胆で広範囲に及ぶものになった。閣僚22名のうち、前政権と同ポジションに留任となったのはデス・ブラウン国防相のみ。8人は閣僚未経験者である。特に注目されたのは、ジャッキー・スミス氏の起用により英国初の女性内務相が誕生したこと、それに若手のデービッド・ミリバンド氏を外務相に抜擢したことである。ミリバンド氏のほか、初入閣となったジョン・デナム氏(革新・大学・職業技術相)、閣外相であるがアフリカ・アジア・国連担当相に任命されたマーク・マロック・ブラウン氏は、いずれもイラク戦争反対派だった人々であり、従来の米国寄り外交政策からの転換を示す人選と見られる。首相の「あらゆる才能が集まる政府」を目指すとの方針に沿って、閣外相、アドバイザーには、前述のマロック・ブラウン氏を含め労働党の外から多数の人材が起用されており、やはり前政権からの決別を示す動きであるとして注目されている。


閣僚名簿
首相 ゴードン・ブラウン >>>
財務相 アリスター・ダーリング >>>
外務相 デービッド・ミリバンド >>>
司法相、大法官 ジャック・ストロー
内務相 ジャッキー・スミス >>>
国防相、スコットランド相 デス・ブラウン
保健相 アラン・ジョンソン
環境・食料・農村問題相 ヒラリー・ベン
国際開発相 ダグラス・アレキサンダー >>>
ビジネス・企業・規則改案相 ジョン・ハットン
下院院内総務、玉璽(ぎょくじ)尚書、女性・平等担当相、労働党幹事長 ハリエット・ハーマン >>>
労働・年金相、ウェールズ相 ピーター・ヘイン
運輸相 ルース・ケリー
コミュニティ・地方自治相 ヘーゼル・ブリアーズ >>>
財務省政務次官、下院院内幹事長 ジェフ・フーン
児童・学校・家庭相 エド・ボールズ >>>
内閣府相、ランカスター公領尚書 エド・ミリバンド
文化・メディア・スポーツ相 ジェームス・パーネル >>>
北アイルランド相 ショーン・ウッドウォード >>>
上院院内総務、枢密院議長 アシュトン女性男爵
財務省主席担当官 アンディ・バーナム
革新・大学・職業技術相 ジョン・デナム >>>
その他の閣議出席者
オリンピック・ロンドン担当相 テッサ・ジョエル
上院院内幹事長、儀杖衛士長 グローコット卿
法務長官 スコットランド女性男爵
住宅担当相 イベット・クーパー
アフリカ・アジア・国連担当相 マーク・マロック・ブラウン卿
財務担当首相秘書官 イアン・オースティン、アンジェラ・E・スミス

新内閣
メンバー大紹介

イメージ改善で好感度上昇中
ブラウン首相夫妻 ゴードン・ブラウン首相(56)

ブレア政権下で10年間にわたり財務相を務め、ようやく政権トップの座を手に入れた、今世界で最もホットな政治家の一人。スコットランド出身、エジンバラ大卒。

首相就任前は、快活さ、カリスマ性の欠如などから、リーダーとしての資質を疑問視する声も多かったが、現在は「堅実」「信頼できそう」「貫禄がある」など肯定的イメージで捉えている有権者が多い様子(物は言いよう)。大型カジノ建設計画とパブの24時間営業許可の見直し、大麻の危険度等級格上げの検討作業開始など、品行方正路線に突き進んでいるため、「ピューリタンかお前は」との声もチラホラ。牧師だった父に幼い頃から道徳的観念を叩き込まれていた影響かと思われる。

「スターリンのように無慈悲」と評されたこともある独裁的な仕事ぶりは有名。今回の内閣は、「イエス・マンばかりを集めた」とも言われているが、さてその忠実なる参謀たちをどう動かしていくか、お手並み拝見といったところだ。

内助の功に徹する元キャリア・ウーマン
セーラ・ブラウン(43)

ブラウン首相の13歳年下妻。ブレア前首相の妻シェリー夫人とは対照的に、殆ど表に出ないで夫のサポート役に徹しており、「政治家の妻としては完璧」と評されることも。ネクタイ選びはもちろん、歯の矯正をさせたり、立ち居振る舞いについてアドバイスするなど、夫のイメージアップにかなり貢献してきたらしく、結婚と同時に辞めたとは言えPR会社経営者としての経験が生かされていると言えるかも。チャリティー活動に熱心なことでも知られる。

驚きの大抜擢はクビ第一候補?
ジャッキー・スミスジャッキー・スミス内務相(44)

先月の「大麻吸ったことあるけど、何か?」(一部脚色)発言も記憶に新しい政界の新ピンナップ・ガール、ジャッキー嬢。これまで一般の国民の間では殆ど名前が知られていなかったため、内閣の最重要ポストの一つである内相への抜擢は本人もビックリだったようだが、前政権での院内幹事長としての仕事ぶりがブラウン首相のお眼鏡にかなったと言われている。しかし、これまでの閣僚経験はその院内幹事長のみなので(閣外相の経験はあり)、当然のことながら「本当に務まるのかぁ?」との声も多く、某大手ベッティング・ショップ(賭け屋)による「現閣僚で最初にクビになる人」のオッズでは堂々一番人気となっている。オックスフォード大卒。政界入り前の仕事は教師。

強烈なビジュアルに目が釘付け
アリスター・ダーリングアリスター・ダーリング財務相(53)

キラキラ輝く白髪頭と真っ黒な極太眉毛のあり得ないマッチングで見る者全てを煙に巻く、英国政界の新ナンバー2。「安心して任せられる人(safe pair of hands)」と呼ばれていることからも分かるように、冷静沈着で堅実・確実な仕事ぶりが評判。2002年、相次ぐ列車事故などでスキャンダルまみれだった運輸省をダーリング氏が新運輸相として引き継いだ途端、同省へのマスコミからの非難がピタリと止まったのはまるで魔法のようだった。かねてからのブラウン派で、同じくスコットランド出身の首相とは盟友。かつては立派なひげをたくわえていたが、「ニュー・レーバーのイメージに合わない」として剃らされたという噂は有名。アバディーン大学卒。

過去30年で最も若い外相が誕生
デービッド・ミリバンドデービッド・ミリバンド外務相(42)

期待の新星と言われる労働党議員の中でも業績、能力、将来性などあらゆる点でトップを走る「ワンダー・ボーイ」。未来の労働党党首との呼び声が高く、先の党首選ではブラウン首相が立候補を恐れていた唯一の人物だったとか。環境・食糧・農村問題相から一気に外務相へと昇進した今回の異動は、出馬を断念してくれたことに対するブラウン首相からの「ご褒美」だったとも言われている。オックスフォード大学、米マサチューセッツ工科大学で学び、2001年に下院議員に初当選。余暇にも政治雑誌を読むほどの政治好きで、「仕事の虫」とも称される。妻はロンドン交響楽団のバイオリニスト。爽やかさ全開のルックスだが、分け目のない髪形が不思議。

ゴードンの忠実なる腹心の部下
エド・ボールズエド・ボールズ児童・学校・家族相(40)

「ブラウン首相の右腕」と言えば真っ先に名前が上がるのがこの人。オックスフォード大学、米ハーバード大学卒の秀才。2005年に下院議員になる前はゴードン・ブラウン氏及び財務省のアドバイザーを務め、その権力の大きさゆえに「副財務相」とのニックネームで揶揄する向きもあったという。前政権でのポジションは財務省経済次官。膨大な業務を抱える新省を託されることになったが、ゴードンも彼なら任せて安心というところか。

首相と同じくスコットランドの牧師の息子
ダグラス・アレキサンダーダグラス・アレキサンダー国際開発相(39)

ハリー・ポッターことダニエル・ラドクリフをそのまま大人にしたようなあどけなさの残るルックスの裏に隠れているのは燃えるような野心……かどうかは知らないが、派手さはないものの、着々と出世街道を突き進んでいる侮れない弱冠39歳。熱烈なブラウン派で、その忠実さが報われて今回は重要ポストにご指名(前政権では運輸相)。出身校はエジンバラ大学、米ペンシルバニア大学。ちょっと気になるのは、ブラウン首相以外に友達がいないって噂。頑張れ。

今回の内閣では最年少の37歳
ジェームス・パーネルジェームズ・パーネル 文化・メディア・スポーツ相(37)

ロンドンの小劇場の理事を務めた経験を持ち、パートナーの女性が映画監督であることなどから、カルチャー担当の本ポストは適任との声も高い労働党のホープ。文化・メディア・スポーツ省政務次官、労働・年金担当相としてパブの営業時間規制の緩和、年金改革などの難題に取り組み、敏腕ぶりが認められて初入閣を果たした。オックスフォード大学在学中にはトニー・ブレア氏のリサーチャーのアルバイトをした経験もあるとか。今後に要注目。

議員仲間に尊敬される「信念の人」
ジョン・デナムジョン・ デナム 革新・大学・ 職業技術相(54)

政治家になる前のキャリアはオックスファムにクリスチャン・エイド。将来を嘱望されていたにもかかわらず、2003年には政府のイラク戦参戦の方針に反対して内務担当相を辞任。こうした経歴からも読み取れる高潔な人格で下院議員から多くの尊敬を集めており、先の労働党党首、副党首選では出馬を奨励する声も聞かれた。サウザンプトン大学卒。前政権では平議員だったが、下院の内政特別委員会委員長として活躍。「ブラウン後」に向けて期待は高い?

保守党からの造反者は大富豪
ショーン・ウッドウォードショーン・ウッドウォード 北アイルランド相(49)

もともと保守党議員だったのが、同党の反同性愛者政策に反発して労働党へと鞍替えしたという過去を持 つだけに、どんなに活躍しようがいつまでたっても 「裏切り者」と呼ばれ続けているのがこの人。メディ ア担当相から昇進しての今回の入閣は、当然のごとく驚きを持って迎えられた。セインズベリー家の跡継ぎである妻のお陰で大富豪。ゆえに、大臣任命にあたり 「閣僚報酬は受け取らない」と発表した際も誰も褒めてくれなかった。ケンブリッジ大学卒。

役職いっぱい、引っ張りだこの人気者
ハリエット・ハーマンハリエット・ハーマン下院院内総務(57)
(女性・平等担当相、玉璽尚書、労働党幹事長、労働党副党首兼任)

6月末の労働党副党首選でまさかの当選を果たし、大きな話題になったベテラン議員。1998年に社会保障相の職を解雇されるも、2001年に法務次官の座を射止めて返り咲き、「奇跡の復活」を遂げる。前政権では司法担当相で、忠実なブラウン派。今回はあれもこれもと任されて肩書きのてんこ盛り状態になっているが、下院院内総務に関しては、比較的中立な立場が求められるため、労働党幹事長、副党首との兼任には批判の声もある。ヨーク大学卒。

小さいながらも性能抜群?
ヘーゼル・ブリアーズヘーゼル・ ブリアーズ コミュニティー・地方自治相(51)

身長147センチと小柄ながら、常にエネルギーを放出しているような明るい性格のため、マスコミが付けたあだ名は「リトル・ミス・ハッピー」「人間電池」。労働者階級の家庭に育ち、弁護士→政治家へと上り詰めた頑張り屋。トレント専門学校(現ノッティンガム・トレント大学)、チェスター法律学校卒。前政権では無所任相兼労働党幹事長。忠実なブレア派だったことから、新政権での内閣入りは無理と噂されていたが、そのエネルギッシュさを買われた。


数字で比べるブレア内閣 VS ブラウン内閣

ブレア首相VSブラウン首相

 
前政権
(ブレア首相)
新政権
(ブラウン首相)
閣僚人数
23
22
女性
8
5
スコットランド出身者
5
4
60歳以上
5
1
40歳未満
2
5
オックスフォード大学 または
ケンブブリッジ大学出身者
8
10
平均年齢
54
49

閣僚の数が1人減ったのは、教育・技術省が「革新・大学・職業技術省」と「児童・学校・家族省」に2分割され、大臣が1人増えたが、前政権では存在した副首相と無所任相の2つのポジションに誰も任命されなかったため。今回の内閣改造に対する批判の一つは、女性の閣僚が減ったことで、ジャッキー・スミス氏が内務相に起用されたことさえ、「女性大臣の減少への非難をかわすための策略」と言われたほどであった。首相がスコットランド出身者であるため、スコットランド人が増えることも予想されたが、実際は1人減少という結果に。若返りの傾向は顕著で、前政権では「60歳以上」が5人だったのが今回は「40歳未満」が5人に達した。ちなみに現政権の唯一の60歳以上の大臣はジャック・ストロー司法相(60)。またオックス・ブリッジ卒の10人のうち、ケンブリッジ大卒業生はジェフ・フーン下院院内幹事長、アンディ・バーナム財務省首席担当官、ショーン・ウッドウォード北アイルランド相の3名のみ。

「家族重視」政策の一環!?
兄弟、夫婦がそろって大臣に任命

第一次ブラウン内閣の話題の一つは、同じファミリーに属する2組のコンビ。まず1組目は、デービッド・ミリバンド外相(42)と弟のエド・ミリバンド内閣府相(37)。ポーランド系ユダヤ人移民の家庭に生まれ、兄弟揃ってオックスフォード大学の同じカレッジでPPE(哲学、政治学、経済学)を学び、どちらも政界のホープとして期待されている。更に、エド・ボールズ児童・学校・家族相(40)と、閣外相ながら今回から閣議出席権が与えられたイベット・クーパー住宅担当相(38)は、「労働党のゴールデン・カップル」と言われるエリート夫婦。ウェスト・ヨークシャー州にある選挙区が隣同士というのも、仲良しぶりの証拠かも?

ミリバンド兄弟とイベット・クーパー
兄のデービッド(左)と弟のエド(中)
妻と大臣二足のわらじ!? イベット・クーパー住宅担当相(右)

役職名が意味不明……
あの謎の閣僚ポスト、その実態は?

閣僚名簿を見ると目につく、耳慣れない謎な役職名の数々。果たしてその中身とは?

まず「ランカスター公領(こうりょう)尚書(しょうしょ)(Chancellor of the Duchy of Lancaster)」は、王室所有地であるランカスター公領の管理役として1351年に創設されたポスト。現在は殆ど仕事のない閑職だが、この役職に任命された者は、内閣府相を兼ねることになっている。

日本語に訳すと漢字が難しい「玉璽(ぎょくじ)尚書(しょうしょ)(Lord Privy Seal)」は、13世紀に国王の私的な印章の管理係として設けられた役職が起源。こちらも今では形式上のポストで、下院院内総務(Leader of the House of Commons)と兼ねることが多い。その下院院内総務とは、特に政府の立法手続きがスムーズに進むよう、下院の業務を効率的に管理する役目を担う。

キツネ
院内幹事長はキツネ狩りの
猟犬係!?

最後に「院内幹事長(Chief Whip)」は、党の規律を維持し、国会で重要事項の採決が行われる際は、議員が党の方針に沿って投票するように指導するのが役目。キツネ狩りの際、むち(whip)を持って猟犬が散り散りにならないよう指揮した「猟犬係(whippers-in)」が語源だそうで、秩序を守る厳しい影の指揮官と言ったところか。野党にも院内幹事長はいるが、与党では財務省政務次官も兼ねるのが通例。

 
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