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Sun, 18 November 2018

英国の口福(こうふく)を探して - イギリス伝統料理とスイーツ(お菓子)

マクギネス真美
英国在住の編集&ライター。日本での9年半の雑誌編集を経て、2003年渡英。以降、英国を拠点に、ライフスタイル、ガーデニング、食などの取材、執筆を行う。英国料理の師は義母。
mamimcguinness.com

「英国料理はまずい」だなんて、言い古された悪評など何のその。
おなじみのものから、意外と知られていないメニューまで、
英国の伝統料理やお菓子には、舌が悦ぶものが色々あります。
ぜひ一度ご賞味を。


No.80

ポッテッド・シュリンプ
Potted Shrimp

Potted Shrimp

英国の夏といえばシーサイド! ということで、夏休みに出かけたのが、英南西部デヴォンにある小さな漁師町、アップルドー。大西洋に流れ込むトーリッジ川の河口にあり、造船所があることでも知られた場所です。

狭い路地に、白、ピーチ、ライト・ブルーなどの色に塗られた壁の家が続く様子は、今流行りの「インスタ映え」する街並み。地元のアーティストが作ったクラフト作品や絵画を売るギャラリーがいくつかあり、ぶらぶらと散歩するだけでうきうきしてきます。そこに、地元で生産されたものを中心に扱う、おしゃれなデリ&カフェ「ジョンズ」というお店があります。ここでランチに食べたのが、地元で捕れたカニを使った「ポッテッド・デヴォン・クラブ」でした。

英国では、燻製や酢漬けなど、古くから生鮮食品を保存するための工夫が色々となされてきました。そして、16世紀に考え出されたのが「ポッテッド」と呼ばれる、肉や魚を容器(ポットやジャー)に入れ、溶かしたバターで蓋をするように覆う、という方法。つまり、このカフェで頂いたのは、レモンの風味が効いたバターでみっちりと蓋をされたカニ。添えられた天然酵母パンにたっぷり付けて食べると、磯の香りがして食が進み、思わずパンのお代わりを頼んでしまいました。

デヴォンでポッテッドされていたのは地元で捕れるカニでしたが、英国で最も有名なポッテッド・フードといえば、英北西部ランカシャー地方の「ポッテッド・シュリンプ」。モーカム・ベイという干潟で捕れる小さな茶色いエビ(ヨーロッパエビジャコ)を、容器に詰め、ナツメグなどのスパイスを効かせたバターで蓋をしたものです。

便利なことに、ランカシャーまで行かずとも、スーパーのウェイトローズで、50グラム入りのモーカム・ベイ・ブラウン・ポッテッド・シュリンプを3.99ポンドで買うことができます。直径7センチほどの小さな容器に、1センチほどの小さなエビの身が、バターと混ざり合ってぎゅっと詰まっています。トーストしたブラウン・ブレッドに付けると、桜エビに似た、コクのあるしっかりした味わいが口の中に広がります。クラッカーに載せてカナッペにしても良さそうですし、スパゲティーに混ぜてもおいしそうな気がします。

ポッテッド・シュリンプが作られ出した明確な年代は分かっていませんが、最も古くから商品を作っていたという製造元の一つで、王室御用達になっているバクスターズという会社は1799年創業といいますから、既に200年以上の歴史はあるということになります。

ちなみにポッテッド・シュリンプは「007」シリーズの著者イアン・フレミングの好物としても知られています。彼のお気に入りだった、ロンドンのメイフェアにある、セレブに人気のシーフード・レストラン「スコッツ」では13.75ポンドでメニューに載っています。

なんちゃってポッテッド・シュリンプの作り方(4〜6人分)

  • 小鍋にバターを入れ、弱火で溶かす。
  • にエビ、ナツメグとカイエン・ペッパー、レモン果汁を入れて混ぜる。
  • ラメキンなどの小さめの容器にまずエビだけをすくって入れ、しっかりと器に押し付けて詰める。
  • が常温まで冷めたら冷蔵庫に入れて10分ほど冷やす。
  • の上から鍋に残っているバターを注ぎ、冷蔵庫に入れて更に冷やす。
  • バターがしっかり固まったら出来上がり。
バター 150g
エビ(小ぶりのもの) 200g
ナツメグ 小さじ1/4
カイエン・ペッパー 小さじ1/4
レモン果汁 小さじ2
ブラウン・シュリンプを販売しているスーパーもあるようですが、ここでは手軽に入手できる小エビで代用しています。
 
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