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Fri, 04 July 2025
3 July 2025 vol.1678

福祉改革法案をめぐり労働党が内部分裂
採決控え揺れる与党内

3月、政府が提案した福祉支出の削減に抗議するため、首相官邸前に集まった人々3月、政府が提案した福祉支出の削減に抗議するため、首相官邸前に集まった人々

労働党政権が提出した福祉給付制度改革法案をめぐり、与党内で深刻な対立が続いている。障がい者給付金や長期疾病による失業者への支援の見直しを含む内容に対し、労働党の多数の議員が強く反発。党の福祉政策に関わる基本的な姿勢が問われるなか、政府は採決直前まで譲歩案を重ねてきた。

法案は、ユニバーサル・クレジット(UC)における健康支援加算の廃止や、個人自立手当(Personal Independence Payment=PIP)の支給基準の再評価を通じて、福祉支出の抑制を目指すもの。だが、こうした改革が障がいや慢性疾患を抱える人々の生活を脅かすとの批判は強く、与党議員の間でも懸念が広がった。

6月29日までに、120人を超える労働党議員が修正案に署名し、党内の動揺は一気に表面化。同30日、複数の英国メディアは労働年金相のリズ・ケンダル氏が既存のPIP受給者に対する保護強化など、さらなる譲歩案を公表すると報じた。最終的な採決を前に、反対派議員の説得にあたる姿勢を強調した格好だ。

党外からの批判も高まっており、元保健相で現在はマンチェスター市長を務めるアンディ・バーナム氏は「この法案は公平性を欠き、分断を生み出す」と明言し、労働党議員に対して反対票を投じるよう促した。キア・スターマー首相にとっては、政権発足から1年足らずで党内結束を試される局面となった。法案の行方は、党の今後の進路を大きく左右する。

政府の最新の譲歩案

労働党政権は1日、福祉給付制度改革法案をめぐり、以下の譲歩案を公表した。
①個人自立手当(PIP)の見直しは原則として新規申請者のみが対象
②現行の受給者への影響は当面避ける方針
③障がい者団体と共同でPIP の評価基準を見直す。見直しの最終報告は2026年秋を予定
ただし、委任事項には評価基準の厳格化を示唆する内容も含まれており、議論が続いている。

 
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