「戦争の悲劇」今日も
チャールズ国王がメッセージ
VJデーに寄せて
対日戦勝記念式典に出席したチャールズ国王(写真右から2番目)とカミラ王妃(同右)
(ロンドン 8月15日 時事)チャールズ国王は15日、対日戦勝80年に合わせて国民向けのメッセージを発表した。「戦争による真の犠牲は、戦場を超えて生活のあらゆる面に及ぶ。そうした悲劇は今日も世界中の紛争が明白に示している」と述べ、現在も各地で続く戦争 に強い懸念を表明した。
音声によるメッセージは今月初めに録音された。国王は「戦中世代による犠牲と奉仕、それらが示す国際協力の必要性」を忘れてはならないと強調。「対日戦の英雄たちはわれわれに自由以上のものを残してくれた。それは自由をどう守るべきかという手本だ」と語り、過去から教訓を得る大切さを訴えた。
広島と長崎の原爆投下にも触れ「人々は計り知れない犠牲を払った。いかなる国の国民も2度とそうする必要がないよう祈る」と述べた。
欧州では5月8日が欧州戦線の戦勝記念日(VEデー)、8月15日が対日戦勝記念日(VJデー)とされる。15日は戦争の犠牲者を追悼し、正午に英全土で2分間の黙とうが行われた。
BBC で追悼式典を中継
BBCは8月15日、「VJ Day 80」として英中部スタッフォードシャーの国立記念樹木園で行われた「対日戦勝記念式典」を中継した。式典では、東南アジアでの対日戦に大英帝国全土から兵士が集められたこと、特に分割前のインドやアフリカ出身の兵士が多く参加し、英国史上もっとも多様な軍隊によって戦われたことが強調された。
また、この多国籍軍は戦争終結に大きく貢献したが、欧州がVE デーにドイツ降伏を祝っていたころも、東南アジアでは激しい戦闘が続いていた。兵士の中には故郷の人々から忘れ去られ、帰還後も過酷な戦場や捕虜収容所での体験を語ることができなかった人が多かったという。式典は、そうした「忘れられた軍隊」を称え、追悼する場となった。