アマゾンのレビューは「フェイクがいっぱい」? 消費者協会が報告
- あえて偽情報を書く人も
レストランを予約する時や旅行の計画を立てる時、皆さんは何を「決め手」としていますか?ネットのレビューを参考にする方は多いのではないでしょうか。筆者もそんな一人です。悪いレビューも良いレビューもどちらも読みますが、高評価のレビューがたくさんついている場合、その商品の信頼性が高まりますよね。「こんなにたくさんの人が素晴らしいと言っているのだから、良い商品に違いない」、と。
4月中旬、こうしたネット・レビューに対する私たちの信頼感を大きく揺るがせる、ある調査結果が出ました。独立組織「消費者協会」(ブランド名「Which?」)が、オンライン小売大手「アマゾン」のサイトに載っている商品で最高の評価(5つ星)がつけられたものの中で、その大半のレビューが偽物であったと報告したのです。
Which? は、14種の家電・PC周辺機器を対象に調査したそうです。例えばヘッドフォンの場合、アマゾンのサイトでヘッドフォンを検索し、レビューの平均スコアによって並べかえてみたところ、最初のページに出たのは全てが専門家でも聞いたことがないようなメーカーの商品でした。さらに表示された商品の71%には5つ星の評価がつき、87%が実際に商品を購入したのかどうか検証できない人によるレビューでした。「Celebrat」という非常に知名度が低いメーカーによって製造されたヘッドフォンには、439件のレビューがついていましたが、そのどれもが5つ星で、実際に購入したかどうかが分からないレビュアーたちによって同じ日に投稿されていました。5つ星評価が続くので、「すごく良い製品なのだろう」と見た人は思うに違いありません。実際にそうなのかもしれませんが、ちょっとおかしい感じもしますよね。
Which? がアマゾンにこの調査結果への返答を求めたところ、「偽のレビューは、たった一つだとしてもあるべきではない」、と答え、さらに「レビュアーと販売者の両方に同サイトに参加するための明確なガイドラインがあり、ポリシーに違反しているユーザーに対しては停止、禁止、および法的措置を講じる」と述べたそうです。
英国規格協会(BSI)はオンラインの販売業者に対して任意のガイドラインを設定し、「実際に商品を購入した人からのレビューかどうかを検証する」「利用者が不適切と思われるレビューに対し注意を喚起できるようにする」ことなどを定めています。
Which? が昨年9月に行った調査によると、2000人余りの成人オンライン買い物客の中で97%がオンライン・レビューを参考にしているようです。競争・市場庁の計算では、オンライン・レビューを参考にした買い物は年間230億ポンド(約3.3兆円)に上っています。
偽のレビューを見分けるための方法として、Which?は「星の数だけで判断せず、レビュー内容を吟味する」「レビューの日付を確認する」「購入者によるレビューかどうかを確認する」などを勧めています。高評価ばかりが続く商品には注意が必要だそうです。
一方で、嘘のレビューをあえて書く人もいます。BBC ニュースの記事(4月17日付)には、アマゾンの商品を無料でもらう代わりにレビューを書き、お金を稼ぐ男性の例が出ています。誰が書かせているのかはこの記事では明確になっていませんが、彼のレビューは「購入者」によるまともなレビューとして読まれることになります。また、自分が働くレストランを宣伝するために、ソーシャル・メディアやレビュー・サイトに高評価を書き込む女性の例も紹介されています。さらに、個人情報を盗まれてしまい、自分に成り済ました人物がレビューを書いていた場合もあったそうで、「誰かのレビュー」が価値を生み出し、貨幣のように売買されている状況が見えてきます。偽のレビューを出す側と、そんなレビューを追放しようとする側によるいたちごっこが続いています。