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Sun, 21 January 2018

「イクメン」ウィリアム王子の「育児休暇」は何週間?

キャサリン妃が3700グラムのプリンセスを出産した。ジョージ王子の次はプリンセスとは。その名は「シャーロット」。上位の王位継承権を持ったプリンセス誕生は1950年のアン王女以来、65年ぶり。エリザベス女王を筆頭に役者ぞろいのロイヤル・ファミリーに、また明るい話題が加わった。

ウィリアム王子はキャサリン妃をサポートするため、4月下旬から育児のための休暇を計6週間取得したと報じられている。英王室と一般家庭とではもちろん事情は大きく異なるが、ウィリアム王子はパパも育児休暇を取りましょうというメッセージを発していると筆者は考える。2000年には労働党のブレア首相(当時)も四子誕生の際に公務を減らし、育児のための休暇を取った。社会の旧習を打ち破るためには、世間の注目を集める人や社会的地位の高い人が率先して新制度を利用する必要がある。

 

英国では今年4月5日以降の出産、新生児の養子縁組を対象に、新たな「共有育児休暇」制度が導入された。男性による育児の分担を増やして、出産した女性の早期社会復帰を促そうというのが狙いだ。旧制度では母親に出産休暇52週間が認められ、1~39週に出産手当が支給。父親は2週間の育児休暇(有給)と、21週目以降に母親が復職した場合、最長26週間(21~39週は有給)の出産休暇を代わりに取得できた。新制度では父親が2週間の育児休暇を取得した後、50週間の出産休暇(3~39週は有給)は母親、父親のどちらが取得しても良いことになった。夫婦が協力して出産・育児の負担が少しでも軽くなるようフレキシブルに対応しようというわけだ。

英国の女性就業率は2013年で66.6%。経済協力開発機構(OECD)平均の57.5%より高いものの、アイスランドの79.9%、スイスの74.4%に比べるとそれほど高くない。日本は62.5%で英国より低い。パートタイムで働く女性の割合は40%近く、日本より高くなっている。女性が子供を預けて働きに出ようと思っても、託児所やチャイルドマインダー(8歳未満の子供を有料で自宅に預かる人)の料金はばかにならない。2歳未満の子供ではフルタイム(週50時間)で託児所が英国平均212ポンド、チャイルドマインダーが197ポンド。ロンドンだと、それぞれ284ポンド、269ポンドにハネ上がる。

子供を預かってもらうのにお金がかかるため、母親は家庭で家事・育児、父親は外で仕事という性別による役割分担が英国でもまだ残っている。新しく導入された「共有育児休暇」の対象になるのは28万5000世帯だが、母親の方が父親より高収入など利益を享受できるのは初年度で5700世帯と政府は予測している。また、大企業なら新制度に対応できる余裕があるが、従業員が少ない中小・零細企業では企業側の負担が大き過ぎるという懸念も膨らんでいる。

 

日本では女性の就業率が増えると出生率がさらに下がると平気で発言する政治家や有識者がいる。1980年代には女性の就業率が上昇すると出生率が下がるという「負の相関関係」があったものの、21世紀になって北欧を中心に「正の相関関係」に逆転した。女性の就業率が上がると出生率も回復するようになってきたのだ。

しかし、日本では「負の相関関係」が色濃く残っている。女性の社会参加を促すための子育て支援策が不十分かつ、男性が育児休暇を取得するのをよしとしない悪習がなくならないからだ。北欧のノルウェーでは70年代から父親も有給の育児休暇を取得できたが、実際に取る人は皆無に近かった。そこで93年に、父親への割当分である4週間の育児休暇を取らないと権利が消滅してしまう「パパ・クォーター制」を導入したところ、取得率が急上昇。アイスランドやスウェーデンでも相次いで導入され、今では取得率は90%を超えている。英国でも「共有育児休暇」を促進するには、「パパ・クォーター制」を導入すべきだという声が聞こえてくる。

救急ヘリのパイロットという仕事を持ちながら、外遊などの公務もこなすウィリアム王子はどれだけ育児休暇を取るのだろう。2人は既にジョージ王子のため乳母を1人雇っている。もう1人雇うという観測も流れる。できるだけ長く育児休暇を取得してキャサリン妃と子育てを分担してほしいものだ。

 
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木村正人氏木村正人(きむら・まさと)
在英国際ジャーナリスト。大阪府警キャップなど産経新聞で16年間、事件記者。元ロンドン支局長。元慶応大法科大学院非常勤講師(憲法)。2002~03年米コロンビア大東アジア研究所客員研究員。著書に「EU崩壊」「見えない世界戦争」。
ブログ: 木村正人のロンドンでつぶやいたろう
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