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Tue, 28 March 2017

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

現代建築 ~未来型建築編~

ハイテク建築により、一躍、世界を牽引する立場になった英国建築界。その進化の波は、2000年を機に最高潮に達した。文字通りミレニアムを冠した建物が各地に出現し、中には次世代の建築スタイルを予見させるものもあった。そして新技術の革新により、着実にデザインも進化している。

ミレニアム建築

ミレニアムを冠する建造物には、リチャード・ロジャース卿による「ミレニアム・ドーム(現O2アリーナ)」やウィルキンソン・イアー設計の「ゲイツヘッド・ミレニアム・ブリッジ」、また、ウェールズの首都カーディフにある英国最大級のオペラ・ハウス、「ミレニアム・センター」などが挙げられる。これらはその規模も形体も、1000年を締めくくるに相応しいものが多い。

たとえミレニアムという文字を冠せずとも、英国人建築家のグリムショウ卿が手掛けた「エデン・プロジェクト」や、ノーマン・フォスター卿が設計した、大英博物館に架かるガラスの大屋根などは、これまでの常識を覆すのに十分なインパクトがあった。また、2000年にオープンしたテート・モダンのように、既存の名建築を改築し再生させる手法も、実に現代的といえる。

ゲイツ・ミレニアム・ブリッジと「エデン・プロジェクト」
左) ウィルキンソン・イアーによるゲイツ・ミレニアム・ブリッジ
右) グリムショウ卿が手掛けた「エデン・プロジェクト」(左右とも英国)

新時代の建築とその担い手たち

英国に限らず、現在、世界中で新しい建築を模索する動きがある。まず先陣を切ったのがオランダ建築だ。英国を代表する建築学校「AAスクール」出身のレム・クールハース率いる設計事務所「OMA」は、常識では思いつかないような斬新なスタイルで世界中を驚かせ、後に、数々の優れた建築家を輩出した。筆頭は「MVRDV」という、同じくオランダ人の建築家集団だ。当初は「OMAの二番煎じ」との悪評も飛び交ったが、時にOMAに勝る勢いで奇想天外な建築を生み出すこともある。

同じくAAスクール出身で目覚しい活躍を見せるのが、現在ロンドンを中心に活躍するイラン人女性建築家、ザハ・ハディド。かつては「『建たない建築』をデザインするペーパー・アーキテクト」と称されたほど、コンペには勝つが実作に欠しかった。劇的なまでに流線的なフォルムと突き刺さるようなシャープなエッジが特徴だ。

ザハ・ハディド設計のスイミング・プール
ザハ・ハディドがロンドン・オリンピックに向け設計したスイミング・プールは、すでに着工している © London 2012

また、数々の強豪を抑えてテート・モダンの設計者に選ばれた「ヘルツォーク&ド・ムーロン」は、スイスのバーゼルを拠点に活躍する設計集団だ。軽やかで重力を感じさせない表層のデザインが特徴で、北京オリンピックのメイン・スタジアム「(通称)鳥の巣」も彼らの作品。現在は、テート・モダンの増築案を設計中だ。

新しい建築の時代へ

こうした斬新なデザインが流行する一方で、その土地特有の地域性や場所性に焦点を当てた「ヴァナキュラー建築」も現代建築における主流の1つとして存在する。また、装飾や余分な要素を削ぎ落とした「ミニマル建築」も注目を集めている。そして、環境負荷を抑制し、CO2削減などを謳った「エコ建築」が、時代の主役に躍り出そうとしている。

グッゲンハイム・ビルバオとカサ・デ・ムジカ
左) ゲーリーによるグッゲンハイム・ビルバオ(スペイン)
右) OMAによるカサ・デ・ムジカ(ポルトガル)


本連載は今回をもちまして終了いたします。これまでご愛読ありがとうございました。

 
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藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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