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第52回 影の薄い日本の金融(いや日本そのもの)

| 第52回 影の薄い日本の金融(いや日本そのもの) |
ロンドンで影の薄い日本の金融最近、金融市場関係者と話していてつくづく日本の金融は影が薄くなったと感じる。1980年代のロンドン市場では、外国為替市場はもとより、各種債券の発行、引き受け市場では、邦銀や邦証(日本の証券会社)が取引の3分の1以上を占め、関係者の集まりも60社近くあったと聞いている。最近バブルの処理が終了しつつあることからロンドンに再進出する先も見られ始めたが、それでも20社には満たない。日本人のための日本料理店の盛衰は皆様もご存知であろう。もちろん、今や日本料理店は日本人のためというよりもシティで働く金融関係者たちのお好みとなって地位を確立している。一方、金融界はまだまだという感じである。邦銀は、資金面では欧米銀の顧客であるし(もはやプレイヤーではない)、証券会社では、野村證券ですら総合力で見ると一流に今二歩である。 勝負の土俵はどこか 日本の経済全体の問題は別に書くとして、ここでは個別金融機関のあり方について考えたい。参考になるのがスコットランド銀行史である。ご存知のように、今でもロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)やスコットランド銀行は、イングランド銀行と異なる銀行券を発行している。流通量も3%程度とわずかだが、れっきとした通貨だ。 スコットランド経済圏のイングランドへの併呑ていどんは、イングランドにおける汽車の発達やロンドンで影の薄い日本の金融石炭の利用が急増した産業革命と密接な関連がある。金融機関は、相手とする経済活動に対応して活躍する土俵がある。その土俵は、経済活動の一体性とそれを決める交通手段や通信手段の発達、そして政治などにより規定されるという訳である。そして現在は、共産圏の崩壊とIT技術進歩によりグローバライゼーションが進み、英国の銀行は世界を相手にしているという訳だ。英国の金融機関は、最近ではバークレイズのABNアムロ(オランダの総合金融グループ)への買収提案、HSBCの米国でのサブプライム・ローン*3の焦付きの例をみるまでもなく、もはや英国内は地盤に過ぎず、全世界で勝負している。それでもスコットランドを対象にした通貨発行もまったく成り立たない訳ではない。ニッチがあるからだ。そうであれば、日本の金融機関も土俵を世界とするのか、日本とするのか、その地方とするのか、一村落とするのかを決めて、足りない部分は金融市場でリスクを売買して調整するというやり方も考えられる。まずは、どこで勝負するかを考えることが大事と思う。 イノベーションが必要 銀行業務や証券業務そのものでの技術革新を用いた、付加価値向上こそ不可欠だ。日本経済が拡大しないのに、その中でのパイの奪い合いは、ジリ貧しか意味しない。航空会社がM&Aにあうのは、戦後、航空機自体に技術革新がないからである。あったのは格安航空くらいだろう。技術革新ではやはり、ITによる大量データ処理、省力化とヒトによる顧客密着が鍵となる。お客の要望を大量処理で安く、しかも早く処理するインフラの構築こそ、まず取り組まれるべきであろう。そして問題は、その中身に何を盛るかということだ。ただ世の中の移ろいが早いので、中身に関してはスピードある変化が必要になる。そうであれば、IT投資、人材投資における「将来拡張性の確保」がキーワードではないか。 |
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筆者プロフィール
Mr. City:金融界で活躍する経済スペシャリスト。各国ビジネスマンとの交流を通して、世界の今を読み解く。 |



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