spacer spacer
Eikoku News Digest
France Germany
UK
search
2008/09/08 Monday 12:07 BST
-
HOME
NEWS
英国発ニュース
今週のタブロイド
英国における日本報道
ヨーロッパ三面記事
CLASSIFIED
求人・求職
貸家・貸部屋
マーケット
レッスン
エトセトラ
お申し込み / Apply now
ENTERTAINMENT
2008年 Happy Astrology
当たる!ロンドン占い
隠れ家ストリート
UKグルメ・レストラン
読んで・見て・聞いて
SPECIAL
最新のオススメ特集
BLOG
セレブの部屋
ダイジェスト編集日記
COLUMN
バスカー土門の人生相談
木をみて森もみる
この言葉 名言に想う
知って楽しい建築ウンチク
LIFE
UKビザ必勝法
Mr.Cityの世界経済
マネー教室
在英日本人の本音
ARCHIVE
過去の連載
CURRENCY
Exchange rate on 2008.09.05

GBP GBP  JPY JPY
1.00  187.25
0.000 %

Edit - About - More

 
HOME arrow 木をみて森もみる arrow 第20回 サミット会場の数奇な過去


19 Jun 2008 vol.1152

第20回-サミット会場の数奇な過去

福田康夫首相が駆け足で、英国を訪問した。ドイツを経由してロンド ンには午前10時ごろ到着し、夕方前 には次の訪問地ローマへ向かうという過密日程であり、あわただしいこ とこのうえない。福田首相の欧州歴訪は、7月の北海道洞爺湖サミット に向け、欧州の各首脳と顔合わせを しておくことが目的だった。確かに、サミット会場で「How do you do?」 では、格好がつくまい。

今回のサミットは「ザ・ウィンザ ーホテル洞爺リゾート&スパ」という豪華ホテルが会場になる。建物自体はバブル期に建設され、一時は 「バブルの塔」とも呼ばれた。バブル崩壊に伴う閉鎖や身売り、そして再開。かつて「エイペックス洞爺」 と呼ばれたこのホテルは、幾人もの夢と恨みを飲み込んだ、数奇な歴史を持っている。

◆ ◆ ◆

1989年11月2日。

晴れてはいたけれども、山頂のホテル建設予定地には、冷たい風が吹 き抜けていた。スキー場やゴルフ場も含め、最終的には総事業費約1000億円に上るという、巨大事業の地鎮祭である。同年の暮れに日経平均は3万8000円を超えて史上最高値をつけ、4万円突破も時間の問題と言われていた。そんな時代である。

会場到着が遅れた私は、関係者から「遅かったな。ヘリコプターのオーナーを見損ねたな」と言われた。事業主である札幌の建設会社カブトデコムのオーナーA氏、それを支援する北海道拓殖銀行(1997年に経営破綻)の重役たちが、ヘリで山頂に舞い降りたのだという。

A氏は当時、北海道では立志伝中の人物だった。

工業高校を卒業後、有力建設会社に就職。24歳で独立し、5人でカブトデコムを立ち上げた。建設会社でありながら、創業時はスコップ6丁とツルハシ2丁しかなく、それでも朝から晩まで働きづめだった、とA氏はよく語った。半ば、つくられた話なのか真実だったのか、今となっては判然としないが、人の何倍も働 く人物だったことは間違いない。

◆ ◆ ◆

雲行きがおかしくなったのは、1992年からだ。バブルが崩壊し、主力銀行の拓銀が融資を絞る。間もなく、カブトの株価は暴落し、瞬く間に経営は行き詰まった。拓銀は自身の生き残りのため不良債権の解消 に乗り出し、カブトの息の根を止めようと、A氏を有価証券偽造罪(手形偽造)で札幌地検に告訴した。

奇妙な出来事が続出するのは、こ こからである。

拓銀は「A氏を刑事告訴はしたものの、検察は銀行内部の事件(特別背任)にもねらいをつけているのでは」と推察し、告訴を取り下げようとした。だが、検察は受け付けず、やがてA氏を逮捕する。しかし、A氏は否認を続け、「検察が苦しんでいる」との情報が伝わってきた。

そのころ、A氏の自宅マンション から盗聴器が見つかった。A氏の弁護士事務所のソファからも、同様の盗聴器が見つかった。盗聴器問題がマスコミをにぎわした数日後、今度はA氏のマンションの管理人である年配男性が屋上から転落死した。「自殺」と言われはしたが、動機は乏しいうえ、管理人の肉親は「彼の眼鏡が見つからない」と訴えた。管理人は極度の近眼で、眼鏡なしには歩けもしないのに、屋上や転落地点の植え込み周辺から眼鏡が見つからないのだ、という。

しばらくして今度は、A氏の取り調べを担当していた検察官が、検察庁舎の自室で首つり自殺した。その動機も謎のままである。

◆ ◆ ◆

A氏は一審も二審も無罪。検察側は上告せず、1999年8月、無罪が確定した。その間に拓銀は破綻して消 えた。

当時の検察の捜査については「カブトではなく、拓銀の不正融資がねらいだった」という説がある。「カ ブトから政界への資金流入があるとみて、それを狙った」という説もある。最近の流行語でいえば、バブル時代に区切りをつけるための「国策捜査」だったのかもしれない、とい う人もいる。

ホテルはその後、閉鎖や破産、身売りを経て、2002年6月から現在の形になった。ヘリで舞い降りた地鎮祭から15年。かつて「頂点」という意味を込めて「エイペックス」と名付けたホテルがサミット会場になるとは、今は米国で暮らすA氏も、さすがに想像しなかったに違いない。


高田 昌幸
北海道新聞ロンドン駐在記者。1960年、高知県生まれ。86年、北海道新聞入社。2004年、北海道警察の裏金問題を追及した報道の取材班代表として、新聞協会賞、菊池寛賞、日本ジャーナリスト会議大賞を受賞。
  spacer  
eBOOK THIS WEEK
木をみて森もみる
バックナンバー
PROMOTION
最新物件情報はこちらから
from News Digest
ご意見・ご感想
リンクダイジェスト
定期購読のお申込み
WEATHER
LONDON
17°C
spacer spacer