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初心者でも楽しめる英国の花特集

いよいよ屋外で過ごす時間が楽しい季節になってきた。こんな時こそ、色とりどりの花を見たいという気持ちになることはないだろうか。

本特集ではそんな時にもってこいの、バラから熱帯植物まで世界中の花や植物を見ることが出来る王立植物園、キュー・ガーデン及びロンドン近郊で花を楽しむための編集部とっておきの情報を紹介する。


世界に知られる国立博物館キュー・ガーデン
年間100万人以上の訪問客
03年にユネスコの世界遺産跡に指定されたキュー・ガーデン。正式名を「王立植物園、キュー」とし、広大な敷地は約120ヘクタールの面積を誇る。

温帯や熱帯など世界各地の気候を再現した温室ではありとあらゆる植物標本が見られ、久しぶりに内部を公開するパゴダをはじめとする文化財としての指定建造物が40も建っている。収集や展示だけでなく、敷地内には植物学を学ぶ3年制の学校があり、テレビでおなじみのアラン・ティッチマーシュなど多くの著名人を輩出している。傍には植物の分類と識別やDNA分析など科学的調査を行う研究所があり、20世紀初期にここで世界で初めて合成繊維のナイロンが作り出されたという知られざる事実も。

キュー・ガーデンはこのようにして植物の保護管理そして環境の維持と開発に取り組む植物の専門機関なのである。

キュー・ガーデンMAP まずは温室巡りから
ガラスと鉄製のビクトリア朝建築
パーム・ハウス - PALM HOUSE
今回、入り口として使ったのは、地下鉄キュー・ガーデンズ駅から徒歩5分のところにビクトリア・ゲート。循環バス「キュー・エキスポローラー」の線路の奥に見えるのが、19世紀に建てられたパーム・ハウス。扉を開けて入るとむっとした空気に迎えられ、絶滅の危機に瀕しているというヤシ科の品種や、ソテツ科の植物の数々を見学出来る。これらは皆、地理上の分布を意識して展示されている。

胡蝶ランの展示を見るならココ
プリンセス・オブ・ウエールズ・コンサーバトリー - PRINCESS OF WALES CONSERVATORY
三角形の屋根が連なる建物の内部では、コンピュー タ制御により気温を調節し、熱帯乾燥地方と湿潤熱帯 地方を中心とする10の気候帯を再現している。見所は、 同一品種でも気候帯別にまったく異なる顔を見せるラ ンの数々。毎年2、3月に「オーキッド・フェスティバ ル」が開催され、大勢の人でにぎわいを見せる。

ランチはエレガントな1級建築にて
オランジェリー・レストラン - THE ORANGERY RESTAURANT
レストランとして機能するこの建物は、1761年当時、オーガスタ妃のために柑橘系植物の展示室として建てられ た「オランジェリー」。フランス語でオレンジ畑を意味す る名前だ。その後博物館やミュージアム・ショップという 変遷を経て現在の姿に改装、公開されたのは02年のこと。 しっかり食事をしたい時、またはコーヒーで一息つきたい時にも最適。

まずは温室巡りから
エリザベス女王80歳の誕生日パーティー会場
キュー・パレス - KEW PALACE
昼食後は、いよいよ屋外を中心に散策を開始! このキュー・パレスは1631年に建設された、キュー・ガーデンの中では最古の建造物。今年は10年ぶりに期間限定で一般公開中。内部にはキュー・ガーデンをこよなく愛したジョージ3世やシャーロット女王と家族達の暮らしぶりを知ることが出来る展示がある。今年4月、厳重な警備のもと、エリザベス女王の80歳の誕生日パーティーが行われ、英国王室の面々が勢ぞろいしたことでも話題になった。

01年開催の日本フェアの際に寄贈された
民家 - MINKA HOUSE
テムズ川沿いを約15分歩くと、竹林の合間からヌッと出てくるのが日本の民家。01年、ロンドンを中心に行われた日本文化の紹介イベント「Japan2001」の際、岡崎市にあったこの民家が寄贈されることになり、日本で解体後、キュー・ガーデンに移築された。枠組みは日本人大工が、泥壁と茅葺き屋根はシェークスピア・グローブ座の職人が手掛けるという分担作業が行われた。

知られざる保全地区
コンサベーション・エリア - CONSERVATION AREA
さらに遊歩道を行くと、指定自然保護地区である保全地区が見えてくる。この中に、1761年に行われたシャーロット女王の結婚を記念したコテージが建つ(開館時期不定期)。その後1898年に、可能な限り自然に近い状態で保存するという条件付きで、周辺の15ヘクタールと共にこの一帯の権利がキュー・ガーデンに譲渡された。現在では夜間にアナグマやフクロウ、昼間にはキツツキも見ることが出来る、野生動物や野鳥の楽園となっている。

久々にオープン! 253段の階段を登ろう!
パゴダ - PAGODA
建設された1752年当時、ヨーロッパにおける最大の 中国式建築だったのが、このパゴダ。今まで固く閉ざされていたこのユニークな建物の内部が、今夏からオープンする。頂上からはバタシー発電所やロンドン・アイ、カナリー・ワーフまで見渡せる。

現存する唯一のガラス製ビクトリア朝建築
テンペラート・ハウス - TEMPERATE HOUSE
パーム・ハウスを手掛けた建築家バートンによる設計のテンペラート・ハウス。1859年に着工、途中政府による資金援助が滞るなどトラブルに見舞われ、完成までに実に30年もの月日を費やした。パーム・ハウスの2倍の面積(4800平方メートル!)を誇り、温帯植物を中心に展示している。

最後はアフタヌーン・ティーでホッと一息!
パビリオン・レストラン - PAVILION RESTAURANT
パーム・ハウスを手掛けた建築家バートンによる設計のテンペラート・ハウス。1859年に着工、途中政府による資金援助が滞るなどトラブルに見舞われ、完成までに実に30年もの月日を費やした。パーム・ハウスの2倍の面積(4800平方メートル!)を誇り、温帯植物を中心に展示している。

キューに見る日本 その1
盆栽ハウス - BONSAI HOUSE
広大な敷地の片隅にひっそり佇む、盆栽ハウスの内部。キュー・ガーデンと交流の深かったオーナーが高齢のため世話をしきれなくなり寄贈した、10あまりの盆栽を展示中。まだまだ規模は小さいが、今後は点数を増やしていく予定。

今年3月にオープンしたばかり!
デイビス・アルパイン・ハウス - DAVIS ALPINE HOUSE
高山植物の展示が斬新なデザインの温室内に登場。あっという間に通り抜けてしまう程小さいが、本来の生息環境とはまったく異なる気候条件の英国でも見事な高山植物を見られるので、お見逃しなく。

キューに見る日本 その2
勅旨門 - JAPANESE GATEWAY
保全地区を離れてさらに行くと、京都西本願寺にある唐門の5分の4サイズのレプリカである勅旨門が。これは1910年にロンドンで開催された日英同盟記念親善博覧会のために作られ、キュー・ガーデンで再建されたもの。その後、度重なる修復作業を経て現在に至っている。周辺には乾山水などがあり、英国にいながらにして日本の情緒に浸ることが出来る。

素通りするのはもったいない!
マリアン・ノース・ハウス - MARIANNE NORTH HOUSE
ここに到達する頃には建造物はもうたくさんという気にもなるが、それでも見逃したくないのがこのマリアン・ノース・ハウス。マリアン・ノースは30代後半の時に病気の父親の最期を看取った後、1890年の彼女自身の死まで植物画を描く ことに没頭した女流画家。北南米、インドや日本など世界中を旅し、過酷な自然にさらされつつも描き続けた。彼女が依頼し作らせたギャラリー内に、その油絵画832点が常設されている。

地下もお見逃しなく!
水族館 - AQUATIC DISPLAY
パーム・ハウスとプリンセス・オブ・ウエールズ・コンサーバトリーの地下にはなんと水族館が。ナマズやタツノオトシゴが君達を待っている。

遊びながら植物について学ぼう!
クライマーズ・アンド・クリーパーズ-CLIMBERS AND CREEPERS
屋内外に設置された、子供のための遊び場。ここでトンネルをくぐりながら、植物の受粉について学ぶなど、インタラクティブな遊びを通じて植物について学べる仕組みになっている。

人間サイズのアナグマの巣で遊ぼう!
アナグマの巣 - BADGER SETT
保全地区に生息する夜行性動物、アナグマの巣を人間が探検できる大きさに拡大して作ったのがこれ。二股に分かれた入口から入ると中は薄暗い、土のトンネルになっている。

夏といえばカブトムシ!
カブトムシ養殖所 - STAG BEETLE LOGGERY
シャーロット女王のコテージの更に奥は、カブトムシの養殖が盛んに行われているエリアが。全長5センチにも成長するカブトムシの生態をここで観察しよう。

特典充実! フレンド・オブ・キュー FRIEND OF KEW
キュー・ガーデンをすべて見るには1日では到底不可能! もっと頻繁に来てみたい、季節ごとに違う花が咲く様子を堪能したい、という方はキュー・ガーデンのフレンド会員になることを検討されてみては? 年会費を払うだけで、キュー・ガーデンを始めとする英国15カ所のガーデンに無料で入場できるほか、年4回発行の会報「キュー・マガジン」誌や特別イベントの案内、ショップ、教育講座での割引が受けられるなど、嬉しい特典がいっぱい! 詳しくは下記のウェブサイトにて。

KEW GARDENS
Royal Botanical Gardens, Richmond, Surrey TW9 3AB
Tel: 020 8332 5655 http://www.kew.org

ガーデン:9:30-18:30 ※週末、バンク・ホリデー:19:30まで
温室・ギャラリー:9:30-17:30
レストラン(すべて):10:00-17:30 ※週末、バンク・ホリデー:18:30まで

入場料:£8.75~11.75、17歳以下無料
キュー・パレス*:£3~5(5歳以下無料)
パゴダ*:£3(5歳未満は入場不可)
園内循環バス(乗り降り自由):£3.50
*ガーデン入場の際に購入(共に時間制入場)
 
花に会いに行こう!フラワー・イベント情報

毎年、夏になると各地で大小の花関連のイベントが開催される。ここでは今からでもチケット入手が間に合う「ハンプトン・コート・パレス・フラワー・ショー2006」と、英国におけるガーデニングの歴史を学べる博物館と、英国人の庭には欠かせないキャラクター達を紹介する。


毎年恒例、世界最大のフラワー・ショー
ハンプトン・コート・パレス・ フラワー・ショー2006
7月6日(木)~9日(日)
HAMPTON COURT PALACE FLOWER SHOW 2006

毎年7月の1週間だけ、ハンプトン・コート宮殿の敷地内を舞台に開催される「ハンプトン・コート・パレス・フラワー・ショー」。世界各国から参加申し込みが殺到し、700以上の出品者が自慢の花や植物を展示する。
新人ガーデン・デザイナーによる展示を見たり、新種の苗を実際に買ったりするのも楽しみのひとつ。

毎年人気の部門
ウォーター・ガーデン - WATER GARDEN


ここでは水をテーマにした庭ばかりを集めた「ウォーター・ガーデン」が見られる。質の高い入選者が毎年腕を競い、最優秀賞が選ばれる。また、専門家による水生植物の直売もあるので興味がある方はお見逃しなく。


今年初登場!小さなスペースの有効活用法を競う
インスパイアリング・スペーシズ - INSPIRING SPACES


初お目見えの部門「インスパイアリング・スペーシズ」では、日当たりの悪い場所や狭い前庭、またはバルコニーといった小さな空間にいかに手を加えて最大の効果を出すかという課題に挑戦。12のプロの園芸集団がそれぞれに与えられた2平方メートルの空間に取り組み、その成果を発表する。

バラの祝宴 - FESTIVAL OF ROSES
最高品種のバラの数々が一堂に集う「フェスティバル・オブ・ロージズ」。くらくらするような花の香りに包まれた展示会場では、毎年発表される新種のバラの中から年間最優秀賞「ローズ・オブ・ザ・イヤー」が選ばれる。今年は一体、どんなバラが登場するのだろうか? また、バラの手入れ法を伝授するトークやデモンストレーションも同時開催される。

HAMPTON COURT PALACE
East Moseley Surrey, KT8 9AU
Tel: 0870 906 3791 Hampton Court駅
www.rhs.org.uk/hamptoncourt

7月6日(木)~9日(日) 10:00-19:30(日は17:30まで)
1日券£24.00、半日券(15:30-19:30、日は14:30から入場可)£15.50(5歳以上15歳まで£5、5歳未満は無料)


視点を広げて、ガーデニングの歴史を考える
庭園歴史博物館 - MUSEUM OF GARDEN HISTORY
花や植物を見るだけでなく、その背景にある英国のガーデニングの歴史に興味がある方には、「ミュージアム・オブ・ガーデン・ヒストリー」がおすすめ。博物館自体はランベス・ブリッジ橋を南に渡ってすぐのところに建つ、セント・メアリー・アット・ランベス教会内にあり、そのいきさつがユニークだ。一時期朽ち果てて崩壊寸前だったこの教会の敷地内で、ある時、16世紀から17世紀に かけて活躍したチャールズ1世の庭師、ジョン・トラデスカントとその息子の墓が発見された。この発見がきっかけとなり、1977年、この教会を舞台に世界に類を見ないガーデニングの歴史を専門とする博物館が誕生。現在では、裏庭が17世紀に人気を得たノット・ガーデン様式を模った装飾庭園になっており、憩いに訪れる人々の目をなごませている。


MUSEUM OF GARDEN HISTORY
Lambeth Palace Road, London SE1 7LB
Tel: 020 7401 8865 Lambeth North/Westminster駅
www.museumgardenhistory.org
毎日10:30-17:00, 入場料: £3.00


ガーデン・ノーム人形 - GARDEN GNOMES
英国人の庭は不思議がいっぱい

英国の田舎へ行くと、道路沿いに建つ家々の前庭に、奇妙な人形がいるのを見かけたことはないだろうか。これが英国で長く愛されてきた、ガーデン・ノーム人形。映画「フル・モンティ」でも登場した、愛すべき庭のアクセサリーだ。

過去の栄光の日々もいまや……

ガーデン・ノーム人形は元はドイツで発祥し、19世紀後半に英国に輸入されたもので、原型は粘土などで作られ彩色を施し、とんがり帽に白いあごひげをたくわえたおじいさんの形をしていた。しかし1960年代になると、プラスチック製で絵の具の塗りも粗雑な、質の悪いものが出回るように。それが原因でガーデン・ノーム人形は下品で趣味が悪いというイメージが付いてしまった。つい10年程前までは英国中の庭に500万体ものノーム達が見られたが、今となっては380万体に減少。売上げもブームの頃と比べて3分の1の年間300万ポンドに落ち込んでいる。現在ではデザインがハイテクであったりセクシーであったりとバラエティーに富んでいるが、よほどリバイバル・ブームでも起きない限り、売上げの減少傾向はさらに続くとのこと。


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