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Sat, 27 April 2024

動物愛護の先進国英国の犬・猫ペット事情

外を歩けばリードなしで犬を散歩させている人を頻繁に見かけ、笑顔で「猫がいる」「実家で飼っている」と答える人も多い英国。実に多くの人がペットに絶え間ない愛情を注ぎ、犬や猫が単なるペットではなく、家族の一員として受け入れられているのだ。今回は、世界有数のペット先進国である英国の犬と猫を中心に、国内のペット事情をまとめてみた。(文:英国ニュースダイジェスト編集部)

参考: www.gov.ukwww.bbc.comwww.independent.co.ukwww.theguardian、各動物福祉慈善団体サイト ほか

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まずは統計で知る英国のペット事情

  • 英国の成人の53%が犬、猫、ウサギのいずれかをペットとして飼っている
  • 英国の成人の29%が犬を飼い、英国全体で推定1100万頭の犬が飼われている
    ちなみに日本の犬飼育数は……約705万3000頭
  • 英国の成人の24%が猫を飼っており、英国全体で推定1100万匹が飼われている
    ちなみに日本の猫飼育数は……約883万7000匹
  • 猫の飼い主の40%が複数の猫を飼っており、犬の飼い主の27%が複数の犬を飼っている
  • 英国の成人の2%がウサギを飼っており、推定110万羽が飼われている
ペットとして飼われる動物ランキング(2022年)
1位
2位
3位 屋内飼育の魚
4位 屋外飼育の魚
5位 屋内飼育の鳥
6位 ウサギ
7位 ハムスター
8位 鶏などの家禽
9位 カメ
10位 モルモット
11位 馬、ポニー 12位 ヘビ 13位 トカゲ 14位 鳩 15位 カエル 16位 アレチネズミ 17位 ネズミ 18位 昆虫 19位 イモリ、サンショウウオ 20位 フェレット

参考: 英国在住の18歳以上の犬、猫、ウサギの飼い主5507人を調査対象とした、YouGov協力による英獣医慈善団体PDSAの2023年の調査、ペットフード製造者協会(旧PFMA)による2022年の調査、一般社団法人ペットフード協会による2022年全国犬猫飼育実態調査

アイコン的存在だった「著名人の愛玩犬」

エリザベス女王

ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

原産地はウェールズで、「ロイヤル・コーギー」として世界的に有名な犬種。女王の最初のコーギーは1933年に父であるジョージ6世からもらったものだった。一時は30匹以上のコーギーを飼うほどの愛犬家で、亡くなる2022年9月まで常に同種を飼っていた。2021年にアンドリュー王子とその娘たちから贈られたコーギー2匹は、現在同王子と元妻のセーラ・ファーガソンさんに引き取られ、元気に暮らしている。

ウィンストン・チャーチル元首相

ミニチュア・プードル

ミニチュア・プードル

厳格な政治家チャーチルも、プライベートでは大の犬好きだった。チャーチルはルーファスという茶色いミニチュア・プードルを飼っていたが、1947年に車に轢かれて亡くなってしまい、その後ルーファス2世と名付けた犬を飼い始める。しかし迎え入れてすぐにルーファス2世が重い病気にかかってしまい、チャーチルはもし犬がまたいなくなったら耐えられないと、留守中の世話を任せた人に胸中を明かした手紙を頻繁に書いていた。

ポール・マッカートニー

オールド・イングリッシュ・シープドッグ

オールド・イングリッシュ・シープドッグ

ミュージシャンのポール・マッカートニーがビートルズ時代に飼っていたのはオールド・イングリッシュ・シープドッグのマーサ。当時メンバーだったジョン・レノンも「とてもかわいかった」と形容したほどで、1968年発表のアルバム「ザ・ビートルズ」に収録された曲「マーサ・マイ・ディア」(Martha My Dear)は、人間の女の子ではなくマーサーへ向けた愛の歌だった。現在マッカートニーは保護犬を引き取り可愛がっているそう。

声なき動物を支援する英国の犬や猫が幸せに生きられる「3つの体制」

英国にはアニマル・ライツを守るためのさまざまな体制が整っている。これらは無責任な飼い主により捨てられた犬・猫を助ける大きな受け皿となっている。

厳格なルールで制裁
1. ペットの命を守る法規制

ネコ

イングランドでは、動物の福祉を守るための「動物福祉法2006年」(Animal Welfare Act 2006)が施行されており、スコットランドなどほかの3地域でも同じような制度がある。これにより飼い主は動物を苦しみから守り、適切な世話をすることが義務付けられているが、もし動物に虐待など不必要な苦痛を与えた場合は、動物飼育の禁止や罰金、また最長5年の懲役となる。このほかにも、以下のようなルールが施行、または実現に向けて準備が進められている。

ルーシー法

2020年から導入された「ルーシー法」(Lucy’s Law)は、イングランド内で新規に子犬や子猫を飼う際、イングランドのブリーダーから直接購入するか、または保護シェルターからの引き取りを促進させるもの。一部の悪徳業者による劣悪な環境での子犬や子猫の大量繁殖をやめさせることを目的としており、認可を受けたブリーダーは、生まれた場所で母親と戯れる様子を購入者に見せなければならない。もし業者が無許可で子犬や子猫を販売した場合、罰金または最長6カ月の懲役刑が科せられる可能性がある。

猫へマイクロチップ埋め込みを義務化

飼い主の連絡先の詳細をデータ化したペット用マイクロチップの埋め込みは、すでにイングランドにいる生後8週目までの犬に義務化されている。2023年3月、政府は2024年6月10日より、イングランドの猫の飼い主は、飼い猫に対し生後20週までにマイクロチップを埋め込み、データベースに最新の情報を登録することを義務付けた。埋め込まれていないことが判明した場合、一定の猶予期間が設けられ、以降は最高500ポンドの罰金が科せられる。この法により、猫が迷子や事故の際、飼い主と迅速に連絡が取れるようになる。

動物虐待コンテンツの制限

英国では、オンライン上でのユーザー、特に子どもの安全確保を目的とした新しい法律、オンライン安全法案(Online Safety Bill)の成立に向け最終段階に入っている。2023年9月11日現在、ソーシャル・メディアを運営する企業に対し、プラットフォーム上から動物虐待のコンテンツを削除しない場合、最大1800万ポンド(約33億円)の罰金が科され、たとえ動物虐待が英国外で行われたとしても、国内のユーザーがアクセスできる状態が認められる場合はそのコンテンツも削除対象となる修正案が提出。現在実現に向け審議が進められている。

ペットは大事な家族の一員
2. ドッグ・フレンドリーの場所が多い

電車に乗せる前に人々や騒音にある程度慣れさせておくのも飼い主の責任電車に乗せる前に人々や騒音にある程度慣れさせておくのも飼い主の責任

英国在住の人にはすっかりおなじみの光景かもしれないが、ロンドンの地下鉄やバス、ナショナル・レールでは、リードにつないだ状態なら専用ケージに入れてなくても犬と一緒に旅行ができる。乗車料金は基本無料だが、ナショナル・レールの場合3頭以上で有料になる可能性がある。なお、ペットは盲導犬などの補助犬のように特別な訓練を受けていないため、エスカレーターを利用の際は、けが防止のために飼い主が終始抱き抱える必要がある。

また、タクシーの代わりに利用されるUberでは、ロンドンやマンチェスターなど特定の大都市で「Uber Pet」サービスを2022年からスタート。通常の乗車料金に数ポンド上乗せするだけで、ペット1匹、ドライバーとの交渉次第では数匹を乗せることができる。なお、補助犬の場合、料金はかからない。

また、ペットが泊まれるコテージや犬同伴OKのレストランやカフェなど、実に多くの場所で家族と一緒に過ごす犬たちの姿を見ることができる。

上から2番目がUber Pet。ロンドン市内なら通常料金+5ポンド程度で利用できる上から2番目がUber Pet。ロンドン市内なら通常料金+5ポンド程度で利用できる

ペットの新しい「仕事」

ESAの認可へ向けて

盲導犬などの補助犬や、病院やケア・ホームなど指定の場所で働くセラピー・ドッグのように、人々の生活をサポートするために働く犬がいる。近年英国では、統合失調症、うつ病、不安障害などの精神疾患の症状軽減を目的とした任務に就く「感情サポート動物」(Emotional Support Animals=ESA)という動物たちへの関心が高まっている。国内ではまだ認可されていないが、目下その実現に向けて署名活動が行われている。一方、すでに特定の場所でのみESAが認可されている米国では、ESAに偽装されたペットが他人へ噛み付いたり、公共の場で排便したりと一部の問題行動が指摘されている。実現には長い道のりになりそうだ。

迷える動物への手厚い保護
3. 多くの動物福祉慈善団体が支援

歴史の古い巨大な組織RSPCA

RSPCA

王立動物虐待防止協会(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals=RSPCA)は、1824年設立の世界で最も古い動物福祉慈善団体。政府から助成金を受けているものの、それは支出の0.1パーセントほどで、ほとんどの活動資金は寄付金でまかなわれている。イングランドとウェールズを拠点に、動物の救出、リハビリテーション、施設から新しい飼い主を見つけるリホーミングが主な活動だ。また、パピーミルなどの大規模な動物虐待や、近隣住民からの通報で飼い主のネグレクトが疑われる場合は、優先順位に応じてスタッフを現場に派遣し、虐待調査を行なっている。
www.rspca.org.uk

有名キャットを多数輩出Battersea Dogs & Cats Home

Battersea Dogs & Cats Home

「助けを必要としている犬や猫を決して拒まず、最大限のケアをして新しい家を見つける」ことを使命に、ロンドン北部ホロウェイで1860年に運営を開始し、現在の場所に1871年に移転した慈善団体。現在は、バタシーのほかにイングランド内に二つのセンターを構える。首相官邸のネズミ捕獲長を務めるラリー、財務省内の同長グラッドストン、外務省内で2016〜20年まで同長を務めたパーマストンなどの猫たちは、皆このバタシー出身だ。ここでの活動をより知りたい方は、スタッフの苦労や保護についての実態を紹介する月1回開催の有料のガイドツアーに参加するのがお勧め(要予約)。
www.battersea.org.uk

どんな家に引き取られても医療は平等にPDSA

PDSA

1917年に始まった動物のための人々の診療所(People's Dispensary for Sick Animals=PDSA)は、支援を必要としているペットに無料・低料金の治療や投薬などの獣医療サービスを提供している獣医慈善団体。支援を受けるには、飼い主が特定の給付金を受け取り、かつ48ある動物病院の管轄区域地域に住むことなどが条件となっている。創設者のマリア・ディッキン(Maria Dickin 1870〜1951年)は、戦争で重要な役割を担った動物に贈られるディッキン・メダルを制定したことで知られている。後に同団体はPDSAゴールド・メダルとPDSA功績勲章を制定した。
www.pdsa.org.uk

飼い主への心のケアも行ってくれるBlue Cross

Blue Cross

1897年に路上で働く馬をケアするために生まれた動物福祉慈善団体。現在は犬や猫、馬、小動物などさまざまな動物たちのリホーミング、治療費の支払いが難しい飼い主に対し、良心的な価格で提供する獣医療サービス、学校訪問など教育を通じた動物福祉事業の啓蒙活動を行う。また、ペットとの死別でペットロスに悩まされている飼い主への心のケア、また万が一飼い主がペットより先に亡くなったときに、ペットのリホーミングを行ってくれる事前登録制のサービスなど、実に幅広い分野にわたって動物の福祉事業に貢献し、飼い主を支援している。
www.bluecross.org.uk

保護犬活動の大本山Dogs Trust

全英犬防衛連盟(National Canine Defense League)という名で1891年に設立された、犬に特化した国内最大の動物福祉慈善団体で、2003年に「ドッグズ・トラスト」に名称が変更された。飼い主の都合で捨てられる犬を減らすために作られたスローガン「犬はクリスマス・プレゼントではなく、一生のもの」(A Dog is for life, not just for Christmas)はあまりにも有名。英国全土、またアイルランドの首都ダブリンにリホーミング・センターがある。保護した犬のリハビリとリホーミング活動に重きを置いているほか、リードを着用して歩かせる方法やトイレ・トレーニングなどを教えるドッグ・スクールも開催している。
www.dogstrust.org.uk

苦渋の決断

保護動物に安楽死が必要な理由

動物福祉慈善団体は動物に常に最大限のケアを施すが、人間により致命傷を負わされたり、過去のトラウマで重度の精神的外傷を抱え、公共での安全の確保および動物たちのトラウマを減らす手立てが全くないとき、不要な苦しみを長引かせない安楽死が動物たちにとって最良の選択となるときがある。これは複数のスタッフにより慎重に検討され、最終判断までに数年かかるケースも。よって厳密には保護団体で全ての命を救えるわけではないものの、苦渋の決断の上の、動物の幸せを真に願った結果であること、またそうさせているのは一部の愚かな人間であることを忘れないでほしい。

かけがえのない命を救おう!犬や猫を動物福祉慈善団体から受け入れる方法

英国ではどのようなプロセスで犬や猫を家に迎え入れるのだろうか。もしあなたが動物を幸せにしたいと強く望み、育てるのに十分な経済的・時間的な余裕があればぜひ参考にしてみてほしい。

政府が推奨するガイドライン購入先は慈善団体 or ブリーダー

政府はペットの違法取引と戦うため、下記の場所からの購入を提案している。リホーミング事業はこちらで紹介した動物福祉慈善団体でも行っているが、団体によってプロセスは異なるため、ここではRSPCAでのリホーミングについて紹介する。

  • ● 国内の信頼できるリホーミング団体
  • ●「ケンネル・クラブ」(Kennel Club)から認められている信頼できるブリーダー。購入前に動物とその書類を必ず確認すること。なお、動物が国外で生まれた場合は、ペット・パスポートまたは獣医師の証明書が必要

RSPCAから犬・猫を受け入れる「5つのステップ」

①オンラインのプラットフォーム上で犬または猫を探す

種類、(推定)年齢、性別、性格、RSPCAに来た経緯から迎え入れる家族に求める理想など、スタッフがびっしりと紹介文を書いているので、まずはこれをチェックしよう。猫の場合、室内飼い・屋外飼いなど、その猫に適した生活環境も記載されている。

②リホーミング申請フォームに記入する

一緒に暮らしたい動物が見つかったら、指定の申請フォームに記入。住居の形態や飼い主のライフスタイルを記載するほか、動物を完全に受け入れる(Adoption)、人間との生活に慣れさせるために一時的に預かる(Fostering)などの細かい項目に答える必要がある。記載が終わったら、該当の動物がいる譲渡センターへ持ち込もう。

申請フォームは犬用、猫用がある申請フォームは犬用、猫用がある

③選んだ犬・猫について理解を深める

RSPCAではその動物が生活することになる受け入れ家庭の、全ての住人が事前にその動物に会いに行くことを推奨している。また、受け入れ側に動物アレルギーを持つ人がないかなど、想定される問題を事前に解消しておく必要がある。なお、スタッフが一度検討した方が良いと判断すれば2回目の訪問を要請される場合も。

④スタッフによる自宅訪問

山場はココ。サポート・スタッフが自宅を直接訪問し、動物が安心して暮らせる環境になっているかチェックが入る。問題がなければ、お世話のヒントや動物との接し方など、責任を持って育てられるよう、今後の育て方について話し合いが行われる。

⑤いよいよ受け入れ! 新しい家族を迎える

全ての準備が整ったら、再び譲渡センターを訪れ正式な書類にサイン。育て方ガイドや新しい家でも動物が安心できるようにこれまで使用していた毛布など、必要なものが渡される。RSPCAで譲渡される犬や猫は、ワクチン接種やマイクロチップの埋め込み、必要に応じた去勢や避妊手術は完了済み。犬を受け入れた場合、数週間後にスタッフが再び自宅を訪れ、様子を確認したり必要に応じて追加のサポートを行ってくれる。

それでもちょっと不安……受け入れにまつわるQ&A

大まかな流れは上記の通りだが、ブリーダーから購入するのとは異なり、動物福祉慈善団体からの受け入れは審査が厳しく、ときには断られることもあるとの噂も……。しかし全ては動物が正しいセカンド・チャンスを掴むために大事なこと。受け入れに関する疑問をまとめみた。

Q受け入れの費用は?

犬か猫か、生後何カ月経過しているか、また譲渡センターによっても異なる。RSPCAでの相場は猫は85〜150ポンド、犬は150〜300ポンド。

Q庭がないが犬を迎えたいけど大丈夫?

該当の犬が室内でのしつけを受けているかどうか、また飼い主が定期的に犬を散歩に連れて行ける時間とその意欲があるかによって受け入れが判断される。

Q猫を受け入れたいが近隣に幹線道路があって心配

室内飼いが適切な猫、庭程度の空間があれば十分な猫など、さまざまな性格の猫がいるので、まずはスタッフに相談を。ちなみにバタシー・ドッグス&キャッツ・ホームでは、飼い主とより相性の良い動物をマッチさせるため、好みだけで特定の動物に応募しないことを推奨している。

Q旅行などで数日家を空けることがある

家族や友人、近所の人に世話を頼んで家に来てもらうのが1番安心。難しければ信頼できるペット・シッターやペット・ホテルを利用する。ペット・ホテルの場合は先々まで予約が埋まっていることもあるので旅程が決まったら早めに予約するのが安全。

話題をさらうのは「かわいい」だけじゃない!英国の犬・猫エピソード

英国でも犬・猫に関するトピックは人気の一つ。歴史から最近の話題まで、気になる六つのエピソードを紹介する。

犬派・猫派は永遠の論争

日本でもたびたび話題になる、犬派・猫派論争は、ここ英国でも同じ。米国の大学の調査結果が多いものの、そのほとんどで「犬の飼い主は社交的で活動的、ルールを厳密に守る傾向にある。猫の飼い主は内向的で繊細、創造的かつ哲学的だがやや神経質」が通説となっている。ちなみに、犬を飼うと散歩のために外出し、人と話すスキルが求められ、一方猫は家の中で寝ていることも多いので、必然的に飼い主の活動量が減らされているという、動物に人間が影響を受けているとする英エプソム大学の研究もまた興味深い。

人間に愛された犬、翻弄された猫

英国に犬がいた最初の記録は石器時代。紀元前7500年ごろにはすでに存在していたようで、中世では狩猟犬や牧羊犬、番犬などとして活躍。英国の驚くべき点は犬の品種改良に対する熱意の高さで、用途に応じたサイズの犬を数世紀にわたり次々と作った。一方の猫は、古代ローマ人によって持ち込まれて以来、黒猫は幸運の象徴とされていたが、中世のペスト流行時に宗教関係者によって「悪魔の使い」であるとして大量に殺されてしまう。しかし、第二次世界大戦後には政府機関の施設のネズミ駆除係としてその地位を大きく向上させた。

英週刊風刺漫画雑誌「パンチ」の年鑑、「パンチ年鑑」(Punch's Almanack、1900年発行)に描かれた挿絵。男性が2頭の立派な犬をリードに繋ぎ散歩させている英週刊風刺漫画雑誌「パンチ」の年鑑、「パンチ年鑑」(Punch's Almanack、1900年発行)に描かれた挿絵。男性が2頭の立派な犬をリードに繋ぎ散歩させている

犬もビールを飲んでいる?

英国の食といえばビール、アフタヌーン・ティー……。私たち日本人にとっても楽しい食文化だが、なんと英国では犬もそれを味わっているのだ。2018年には人気のクラフト・ビール、ブリュードッグから、アルコール・フリー、ホップ・フリーで炭酸抜きの犬用ビール「Subwoofer IPA」が限定発売され話題に。また、ロンドンの高級デパート、ハロッズにほど近いザ・エガートン・ハウス・ホテル(the Egerton House Hotel)では、鶏レバーのミートローフなど豪華なメニューが売りの「ドギー・アフタヌーン・ティー」が30ポンドで楽しめる。
https://egertonhousehotel.com

ホームレス男性の人生を劇的に変えた猫

官邸でネズミ捕獲長として働く猫など、英国には数多くの有名な猫がいるが、2020年に死去した茶トラのボブもその1匹だ。元ホームレスのジェームズ・ボウエンさんがボブと出会ったのは2007年。けがをした野良猫の世話をし、以来ボブとボウエンさんは行動を共にするようになる。街中で雑誌「ビッグ・イシュー」を販売するボウエンさんの肩にはいつもボブが乗り、いつしか街の人気者に。ボウエンさんはこの一連の出来事を本に書き、後に映画化もされた。ロンドン東部イズリントン・グリーンには、ボブの等身大の彫像が設置されている。

英国の花火シーズンにかけたいペットのためのラジオ番組

日本で花火といえば夏だが、英国では11月上旬にあるイベント「ガイ・フォークス・ナイト」がそのシーズンに当たる。ガイ・フォークス・ナイトを中心に約1週間ほど、人々は自宅で花火を打ち上げ続け、週末には各地で大規模な花火大会が開かれる。一方、花火の爆発音と明るい夜空はペットにとっては相当なストレス。クラシック専門のラジオ局「Classic FM」は、この時期のペットの不安を和らげるために、ペット向けのクラシック音楽が編成された番組「Classic FM's Pet Classics」をここ数年放送している。2023年の放送は未定だが、気になる人はぜひサイトからチェックしてみてほしい。
www.classicfm.com

安全性の高いペット・フード

英国にはペット・フードの原材料をチェックし、ペットたちが栄養価の高い食事を安心して取れるよう、その品質を厳格に管理する「UK Pet Food」(旧PFMA)という協会がある。動物愛護が盛んな英国のペット・フードは世界でも1、2を争うほどの安全性の高さで知られているが、それは同協会が50以上もあるペット・フードに関する法律を遵守するよう、加盟メンバーのペット・フード製造会社に促しているからだ。このおかげで私たち飼い主は、たくさんの高品質なフードの中から犬や猫が最もおいしそうに食べるものを安心して選択し、与えることができる。
www.ukpetfood.org

 

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