日本タウン誌・フリーペーパー大賞で英国ニュースダイジェストが最優秀賞を受賞いたしました!
Mon, 18 December 2017

安心で快適な英国生活を送るための保存版 - 在英邦人のための生活の手引き

春は英国で新生活を始める方の多い季節。新たな決意や希望とともに大きな一歩を踏み出した方々に向けて、英国で暮らす際に気を付けておきたい基本情報をお届けします。来英してからでないと分かりにくい、現地に根差した情報の数々を用意しました。(宮田さち / 本誌編集部)

学校探しはかなりハード
公立学校について
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色々ある公立校の種類

英国で就学年齢のお子さんをお持ちの親御さんにとっての大きな悩みは学校選びかと思われます。一口に、無料で教育を受けることができる公立学校(ステート・スクール)と言っても、実は色々な種類があります。

公立校の種類

● コミュニティー・スクール
地方自治体により運営され、企業や宗教に影響されない。政府制定のカリキュラムに従う。いわゆる一般的な公立校のこと

● ファウンデーション・スクール
運営組織がコミュニティー・スクールよりも大きな自由裁量権を与えられている

● フェイス(宗教系)・スクール
政府制定のカリキュラムに従うが、入学条件や職員のポリシーは特定の宗教に従う

● アカデミー
地方自治体から独立して運営され、独自のカリキュラムがある

● グラマー・スクール
学業優秀な生徒の獲得のため、入学試験を実施している。近年、学校数が減っていたが、政府内で数を増やそうとする動きも

英国では4〜5歳から初等教育(プライマリー・スクール)が始まります。最初の年はレセプションと呼ばれ、保育園(ナーサリー)の延長のようなもので、実際、ナーサリーを続ける人もいます。その後、イヤー1からイヤー6までがプライマリー・スクール、イヤー7から中等教育(セカンダリー・スクール)に進むことになります。

入学準備は住居探しから?

プライマリー、セカンダリー、ともに学校が始まるのは9月ですが、その前年度に入学申請をしなければなりません。住んでいる地方自治体によって違いますが、保護者は教育水準局(Ofsted)が発表する報告書に目を通したり、学校へ見学に行ったりして情報を集め、4つから6つほど志望校を選択し、そこから選ぶといった具合です。

英国の公立学校は格差が激しく、1クラス30人など定員制を取っているため、人気校への入学は非常に厳しくなります。基本的にはキャッチメント・エリア(学区。住んでいる家と学校の距離で定められています)で決まり、学校に近ければ近いほど入学できる可能性は上がるため、人気のある学校の付近の不動産は高いようです。極端な例を挙げると、学校付近の1ベッド・フラットと学区外にある4ベッド・ルームの一軒家を1年交換してでも、人気校に子供を入学させるという人もいるそう。一度入学すると、引っ越しをしても学校には続けて通えることになっているためです。

また、兄弟が学校に通っていると優先的に同じ学校に通うことができます。そのほかにも本人や家族の病気や障害など、特殊な条件下にあるスペシャル・ニーズという枠に当てはまれば、入学に優先権が生まれます。そのため1学年1クラスの小規模人気校だと、兄弟、スペシャル・ニーズ枠でほぼ新入生は定員数に達してしまうなどというケースも。

セカンダリー・スクールでは学区こそ広がりますが、入学における学校探しの方法は同じです。学期途中での転校、編入は地方自治体の教育部に問い合わせて、という形になるのですが、受け入れ先がないとどこにも通えないということにもなりかねません。義務教育といえども、保護者が積極的に動かなければならないのが現状です。

保護者の情報収集が鍵となる
英国の公立校事情
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日英で異なる教育事情

英国の初等・中等教育は、公立の志望校に入学するための競争が非常に激しいことで知られています。特に①各校の教育レベルにかなり開きがあること、②公立校でも定員制を採用していること、③学区内の公立校でも入学できない場合があること、には注意する必要があるでしょう。

公立でも人気校への入学は至難の業

教育レベルの違いについては、英国のニュースで現在盛んに論じられている話題です。一般的に言って、オックスフォードやケンブリッジといった名門大学への入学者は私立校出身者が大多数を占める傾向があります。このような状況下においても、名門大学へ卒業生を次々と送り出している優秀な公立校が存在。一方で、各国からの移民が殺到したため英語での授業が成立しない、またはほぼ慢性的な学級崩壊に陥ってしまっている学校も決して少なくないと言われています。

そこで、教育レベルの高い公立校への入学を視野に入れて、人気校の「キャッチメント・エリア」と呼ばれる学区内へ各家庭が殺到します。ただし、学区内に住めば進路は安泰というわけではありません。英国ではたとえ公立校であっても定員を超えたら学生を受け入れないからです。その結果、人気校では学校から自宅までの距離が近い順に生徒を受け入れるといった形で事実上の入学制限を課すようになります(名門校の中にはカトリック信者のみ受け入れるなど宗教的な制約があることも少なくありません)。言い換えれば、学区内の公立校に入学できない場合があるのです。この定員に入れるか入れないかの境界線を示すのが「カットオフ・ディスタンス」。超人気校では、校門から自宅までの距離がわずか数百メートルでないと入学できないという非常に極端な例も見られるようです。カットオフ・ディスタンスは、志望者数の増減によって毎年変化します。つまり、例えば昨年であれば定員内に収まった住所であっても、今年は定員外となる状況が往々にして起こり得るのです。

報告書を参照して情報収集

以上に述べたような状況から、英国の小中教育機関に通わせる子供を持つ保護者たちは、たとえ公立校への通学を予定しているとしても、相当な量の情報収集を行わなければなりません。多くの保護者たちは、教育水準局(Ofsted)が毎年発表する報告書を入念に確認しています。

この報告書では、各校の状態を「極めて優れている(outstanding)」から「十分でない(inadequate)」までの4段階で評価。近隣の学校のカットオフ・ディスタンスと照らし合わせながらこの報告書を参照し、第一志望校が既に定員に達している場合には「ウェイティング・リスト」に登録するか、または新規生徒の受け入れが可能な学校の中から別の候補を探すことになります。現地校のウェイティング・リストに登録されている間や来英後の正式な住所が決まるまで、英国にある日本の私立学校へ子供を通わせるという措置を取る在英邦人の保護者もいるようです。

教育水準局(Ofsted)の報告書検索ページ

http://reports.ofsted.gov.uk

公立と私立で大きく違う
英国の教育制度
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公立と私立では名称が異なる

「複線型」と形容される英国の教育制度には様々な選択が用意されており、またその分だけ複雑です。そもそも、公立校と私立校で学校の名称が変わります。例えば、公立校では初等教育はプライマリー・スクール、中等教育はセカンダリー・スクール。一方の私立校では、前者がプレパラトリー・スクールで、後者がシニア・スクール(日本でも広く知られているイートン校やハーロー校といった名門パブリック・スクールは、このシニア・スクールの一種です)と呼ばれています。私立校によっては、入学年が必ずしも一様ではありません。さらに、公立の中等教育は無試験で入学できるコンプリヘンシブ・スクールと、選抜試験を経るグラマー・スクールに分かれています。

義務教育の最終段階となる中等教育終了後は、GCSE試験を受験。大学進学を望む者はシックス・フォームと呼ばれる課程に進学(シックス・フォーム・カレッジとして独立しているものと、中等教育機関内に併設されているものがあります)し、同課程での学習内容を踏まえたAレベル試験での成績次第で希望の大学に入学することができます。

公立校私立校
プライマリー・スクール
セカンダリー・スクール
コンプリヘンシブ・スクール
グラマー・スクール
プリ・プレップ・スクール
プレパラトリー・スクール
シニア・スクール
(パブリック・スクール)
GCSE試験(義務教育終了)
シックス・フォーム・
カレッジ
シックス・
フォーム
シックス・フォーム・
カレッジ
シックス・
フォーム
Aレベル試験
大学

キャッチメント・エリアとは

英国の小中等教育においては、公立校への入学条件の一つとして、日本の学区に相当するキャッチメント・エリアが定められています。そして、英国の義務教育における各公立校のレベルが一様ではないとの認識から、英国で子育てを行う家庭は、このキャッチメント・エリアを重視する傾向にあるようです。各学校には定員があらかじめ決められているのに対して、志望者数には毎年ばらつきがあるので、このキャッチメント・エリアは年によってある程度伸び縮みします。人気校の近くには入学を希望する家族が在住する住宅がひしめくため、キャッチメント・エリアが非常に狭い範囲に限定されるということも珍しくありません。また学校によっては、学力や信仰、障害の有無、さらには兄弟姉妹が既に通学しているか否かなどを入学条件に加味している場合もあります。

日本から来英した場合

日本から英国に移住し、英国の公立校に通学する場合には、自宅の住所をキャッチメント・エリア内に含んでいる学校の中から希望校を選び出し、居住区を管轄する当局に申請。希望校の中から、空き状況があり、かつ自宅から一番近くに位置する学校の該当年生として入学することができます。一方、私立校については、各学校が定める基準のみで選抜され、居住地域などは考慮されない場合が多いです。また公立・私立のいずれであるかに関わらず、現地校に通う日本人生徒の中には、週末などに日本のカリキュラムに合わせた授業を行う補習授業校に通学する人たちも多くいます。

 
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