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Thu, 19 July 2018

誰が手術費用を負担するべきか
「破裂する」豊胸バッグ問題

豊胸バッグ
14日、私立病院が並ぶロンドンのハーレイ・ストリートで、PIP社製の豊胸バッグの摘出手術を無料で実施するよう訴える女性たち

昨年末、フランスのポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社が製造した豊胸用シリコン・バッグに医療上の問題があることが発覚した。最悪の場合、シリコン材が体内で破裂する可能性があり、豊胸手術を受けた欧州の女性たちの間にパニックが起きている。本国フランスなどでは女性たちに摘出手術を受けるよう勧告が出されたが、英政府は「手術は必須ではない」と発表し、国によって対応がまちまちになっている。

英国における豊胸手術

  • 豊胸手術を受けた全体数 ─ 25万人
  • 乳がんの手術後、乳房再建のために 豊胸手術を受けた人数 ─ 2万5000人
  • 過去に仏PIP社製の豊胸材を使用した人数 ─ 4万人

豊胸手術についての意識調査

豊胸手術についての意識調査

「破裂する豊胸材」への懸念

豊胸バッグ「体内で破裂する」との恐れがある豊胸用シリコン・バッグが、英国を始めとする欧州各国を中心に大きな健康上の懸念を広げている。この豊胸材は、フランスのポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社が製造したもの。同社は、医療用としては未認可の産業用シリコンを使用していた。事態が発覚すると、フランス政府は同社の製品を使用禁止とする措置を取り、同社は2010年に倒産している。  

豊胸材が体内で破裂すると、シリコンの中に入っているジェル状の物質が体内に流れ出て、細胞に損傷を与える。すると痛みや炎症の発生に加えて、乳房の変形につながり、また豊胸材の摘出さえ困難になることもあるという。

破裂する可能性はどれだけあるのか

PIP社製の豊胸材は世界65カ国で約30万人の患者に販売された。英国では4万人前後がPIP社の製品を使ったとみられている。正確な数が把握できていないのは、豊胸手術のほとんどが民間の医療クリニックで行われているためだ。国民医療サービス(NHS)は、ほんの一部の患者情報しか持ち合わせていない状況にある。  

豊胸手術を受けた女性たちは、現在、大きな不安を抱えながら生きている。安全性についての情報が確定していないからだ。例えば、フランス政府は「PIP社製の豊胸材が破裂する可能性は5%」とするが、英国医薬品庁(MHRA)ではこの数字が1%に下がる。また大手民間クリニックの「トランスフォーム」の試算は7%だ。  

フランス政府は予防策としてPIP社製の豊胸材の摘出を推奨し、ドイツ、オランダ、チェコ、ベネズエラなども同様の姿勢を取っている。一方、英国では、ランズリー保健相が調査を委託した専門家グループによって1月6日に発表された報告書が、「原則として摘出の必要は認められない」と結論付けた。

摘出手術の費用は誰が負担するのか

豊胸手術豊胸材を摘出するとして、「誰が手術代を支払うか」という点についての政府の不明確な態度も、豊胸手術を受けた女性たちの怒りを大きくしている。保健相は、「民間のクリニックには、女性たちが無料で摘出手術を受けられるよう手配する道義上の義務がある」と述べたが、「道義上の義務」のみでは十分ではないと考える女性たちは多い。

フランスでは、PIP社の豊胸材を使った女性たち約3万人に対し、政府が摘出の手術代を負担すると宣言。英国ではNHSが、一般医が必要と判断したときのみ費用を負担した上で摘出手術を行うと述べているが、この措置はNHSで豊胸手術を受けた人のみを対象としている(ただNHSは、民間のクリニックで豊胸手術を受けて、そのクリニックが閉鎖していたり、無料の摘出手術を行うことを拒絶した場合でも、必要と判断されれば無料で摘出手術のみを行うとしている。ただし、別の豊胸材との交換はしない)。

事態が今後どのような形で進んでいくにせよ、現在大きな犠牲者となっているのは、紛れもなく、医療機関に身をゆだねた女性たちである。医療関係者がせめてできることは、既に豊胸手術を受けた女性たちが、混乱を起こさず、自身の身体をどのようにケアしていくかを決めることができる状態を、一日も早く築き上げることだろう。

Mammography

マンモグラフィー。乳がんの早期発見のために、乳房をX線撮影する方法、あるいはその装置。受診者の乳房を装置の撮影台に乗せ、プラスチックの板で乳房を台に強く押さえつけて撮影する。英国に住む47歳から73歳の女性(昨年までは50歳から70歳)は、3年ごとに無料でマンモグラフィーを受けるよう国民医療サービス(NHS)から連絡を受ける。2007〜08年の1年で、170万人を超える女性がマンモグラフィーを利用した。乳がんを早期発見して死を免れる受診者の割合は、20〜30%と言われている。初回の検査で疑わしい兆候が見られ、再検診を受けるのは20人に一人。

(小林恭子)

 
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