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Sat, 16 January 2021

英国ニュース解説

最終更新日:2012年9月26日

おとり取材で元夫の王子を「売った」
波乱続きの人生、セーラ元妃とは

常に国内外から注目の的であり続けている英国王室。ひところに比べ、スキャンダルの報道は少なくなったように思われるが、最近、王子の元妻がタブロイド紙のおとり取材に引っかかり、一騒動を巻き起こした。しかし、彼女が新聞の紙面を賑わせたのは今回が初めてではなく、これまでにもしばしば醜聞を流していた。

英国王室家系図

セーラ・ファーガソンさん経歴

1959年10月15日、ロンドンに生まれる。現在50歳。父は英陸軍少佐だった。父方の家系は、スチュアート朝のチャールズ2世の私生児の子孫。両親は1972年に離婚し、母親は再婚相手と共にアルゼンチンに移住したが、セーラさんは父のもとに残った。

18歳で秘書学校を卒業後、PR会社、アート・ギャラリー、出版社などで働く。アンドリュー王子とは子供の頃から知り合いだったが、1985年、友人だったダイアナ皇太子妃(当時)に招待され、ウィンザー城で開かれたパーティーに出席したことがきっかけで恋愛関係に発展し、1986年に結婚。結婚と共に、「ヨーク公爵夫人(Duchess of York)」の称号を得る。1988年に長女ベアトリス王女、1990年に次女ユージェニー王女をもうけるも、夫婦は1992年に別居、1996年に離婚した。特にフィリップ殿下(エリザベス女王の夫)などの王室メンバーは、セーラさんの粗野な振る舞いを嫌っていたと言われ、女王の元私設秘書が、セーラさんを評して「下品、下品、下品(vulgar, vulgar, vulgar)」と述べたというのは有名な話である。

離婚後、主に米国で、講演や執筆活動、テレビ出演などの活動を精力的に行う。王子との別居前から執筆していた児童書の「ヘリコプターのバッジー(Budge the Little Helicopter)」シリーズは人気を集め、英米でテレビ化もされた。また、子供のための慈善団体を設置するなど、チャリティー活動に熱心であることでも知られている。

アンドリュー王子とは離婚時から現在まで良好な関係を保っており、2008年以降、同じ邸宅内に住んでいる(ただし生活は全く別々であるという)。2人の娘とも仲が良く、娘と一緒に公の場に出ることも珍しくない。

「50万ポンドですべての道が開く」

エリザベス女王の次男、アンドリュー王子の元妻であるセーラ・ファーガソンさん(50)が先月、タブロイド紙のおとり取材に引っかかり、元夫を「売った」とのニュースは、国内外で大きな関心を集めた。セーラさんは、ビジネスマンを装った「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」紙の記者とロンドンの会員制レストランで面会し、アンドリュー王子を紹介する報酬として50万ポンド(約6750万円)を要求。また、前金として現金4万ドル(約540万円)を受領した。

アンドリュー王子は、英国貿易・投資庁の特別大使を務めており、海外から英国への投資促進を目的とした活動を行っている。同紙のウェブサイトでは、セーラさんと記者の密談を隠し撮りしたビデオが公開され、セーラさんが記者に対し、「(50万ポンドを払えば)すべての道が開ける」などと話している様子が明らかにされた。アンドリュー王子は報道後、この件については全く知らないとのコメントを出した。

離婚時に数百万ポンドの借金

セーラさんは、1986年にアンドリュー王子と結婚。当初は、王室に新風を吹き込む存在として歓迎されたが、やがて、浪費癖や贅沢な暮らしぶり、奔放な振る舞いなどがマスコミから批判されるようになった。体重や服装センスなどもタブロイド紙の揶揄の対象になり、更には、アンドリュー王子が海軍勤務で一緒に過ごせる時間が少なかったことが影響してか、男性関係の噂も数多く聞かれた。こうしたことが原因で、夫婦は1992年に別居、1996年に正式に離婚した。

浪費がたたり、セーラさんは離婚時、オーバードラフト(銀行口座の残高を超えた引き出し額)が100万ポンド(約1億3500万円)を超え、それ以外にも数百万ポンドに上る借金があったと言われている。しかし、王室からの離婚慰謝料はわずか年間1万5000ポンド(約202万円)に抑えられたため、セーラさんは以後、借金返済のため、主に米国で様々な活動を行うことになった。テレビ等のメディア出演のほか、執筆活動や講演、更には減量プログラム「ウエイト・ウォッチャーズ」の広告塔なども務め、かなりの成功を収めたが、最近は、「ウエイト・ウォッチャーズ」の契約が終了したことなどが原因で再び経済的に逼迫し、多額の借金を抱えていると言われていた。昨年には、米国に設置していた自身の会社を解散したことが伝えられていた。

自己破産の可能性も明かす

今回の「事件」は、セーラさんのこうした財政的窮状を背景に起きたものであった。セーラさんは今月初旬、この件について釈明すべく、米国で、オプラ・ウィンフリーさんが司会を務めるテレビのトーク番組に出演。不相応に贅沢な生活をしたことで多額の借金ができたなどと語った。離婚以降も良好な関係を保っているアンドリュー王子と2人の娘たちは自分をサポートしてくれていると述べたが、今後は更に困難な道が待ち構えていることを認め、自己破産も考えているとも明かした。王子の妻として、そしてその後も、波乱万丈の人生を送ってきたセーラさんだが、まだしばらくは苦労が続きそうである。

Prince Andrew

エリザベス女王の次男で、セーラ・ファーガソンさんの元夫。ヨーク公爵の称号を持つ。1960年2月19日生まれ、50歳。海軍兵学校で学んだ後、1978年、海軍入隊。1982年に始まったフォークランド紛争でも海軍ヘリコプターのパイロットとして従軍した。現在は、本文で紹介したように、英国貿易・投資庁の特別大使として英国への投資促進のための活動を行っている。若い頃は「プレイボーイ王子」などと呼ばれ、美女好きの遊び人との評判がもっぱらだった。ゴルフ好きで知られており、現在のハンディキャップは「4」と、プロ並みの腕前を持つ。

(猫)

 
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