Mill Hill International オープンデー
Wed, 25 April 2018

8000人のランナーが英全土を走る
五輪の聖火リレーについて

オリンピックいよいよ開会まで2カ月を切ったロンドン五輪。購入していたチケットが届き、胸をワクワクさせながらその日を待っている人も少なくないだろう。今回は、日々の報道などを通して、大会が間近に迫っていることを実感させてくれる聖火リレーについて取り上げる。

聖火リレーのルートに入っている英国の名所(一部)

通過日 名所の名前
5月19日 ランズ・エンド岬
(イングランド南西部) 
ランズ・エンド岬イングランド南西部の端。
英国での聖火リレーのスタート地点
5月29日 スノードン山
(ウェールズ)
スノードン標高1085メートルのウェールズの最高峰
6月4日 ジャイアンツ・コーズウェー
(北アイルランド)
ジャイアンツ・コーズウェー火山活動で形成された石柱が立ち並ぶ名所
6月16日 エンジェル・オブ・ノース
(イングランド北部)
ハドリアヌスの壁(同)
エンジェル・オブ・ノースエンジェル・オブ・ノースは、ゲーツヘッド地方に建つアンソニー・ゴムリー氏による大彫刻作品。ハドリアヌスの壁はローマ時代の遺跡
7月12日 ストーンヘンジ
(イングランド南西部)
ストーンヘンジウィルトシャー州に位置する環状の巨石群。世界的に有名な先史時代の遺跡
7月13日 ダードル・ドア
(イングランド南部)
Durdle Door海に突き出した石灰岩の崖が、海水で侵食され、アーチ型になったもの
7月20日 ロンドン塔
(ロンドン)
Tower of London11世紀にウィリアム征服王が建造を開始した古い城。監獄、処刑場として使われたことで知られる
7月27日 ハンプトン・コート宮殿
(ロンドン)
Hampton Court Palaceヘンリー8世の時代に建てられた城。聖火リレー最終日はここからスタートし、五輪スタジアムへ向かう

これまでに行われた五輪の聖火リレー

開催年 開催都市 聖火ランナー
の数(人)
走行距離
(km)
聖火リレーで通過した国・地域
1936 ベルリン
(ドイツ)
3331 3187 ギリシャ、ブルガリア、ユーゴスラビア、オーストリア、チェコスロバキア、 ドイツほか
1948 ロンドン
(英国)
1416 3365 ギリシャ、イタリア、スイス、 ルクセンブルク、ベルギー、英国ほか
1952 ヘルシンキ
(フィンランド)
3372 4725 ギリシャ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド
1956 メルボルン
(オーストラリア)
不明 4912 ギリシャ、インド、タイ、シンガポール、インドネシア、オーストラリア
1960 ローマ
(イタリア)
1529 1863 ギリシャ、イタリア
1964 東京
(日本)
10万1866* 7487 ギリシャ、トルコ、レバノン、イラン、パキスタン、インド、ビルマ、タイ、マレーシア、香港、台湾、日本
1968 メキシコ・シティー
(メキシコ)
2778 2500 ギリシャ、イタリア、スペイン、カナリア諸島、エルサルバドル、メキシコ
1972 ミュンヘン
(ドイツ)
6000 5532 ギリシャ、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ユーゴスラビア、ハンガリー、オーストリア、西ドイツ
1976 モントリオール
(カナダ)
1214 775 ギリシャ、カナダ
1980 モスクワ
(ソ連)
5000 4915 ギリシャ、ブルガリア、ルーマニア、ソ連
1984 ロサンゼルス
(米国)
3636 1万5000 ギリシャ、米国
1988 ソウル
(韓国)
2万899** 1万5250 ギリシャ、韓国
1992 バルセロナ
(スペイン)
1万448 6307 ギリシャ、スペイン
1996 アトランタ
(米国)
1万2467 2万6875 ギリシャ、米国
2000 シドニー
(オーストラリア)
1万3300 2万7000 ギリシャ、グアム、パラオ、ミクロネシア、サモア、ニュージーランド、オーストラリアほか
2004 アテネ
(ギリシャ)
7700 7万8000以上 ギリシャと、過去のすべての夏季オリンピック開催都市を含め、5大陸を回った。
2008 北京
(中国)
2万1800 13万7000 カザフスタン、トルコ、ロシア、英国、フランス、米国、インド、タイ、インドネシア、日本、韓国、ベトナムほか
2012 ロンドン
(英国)
8000 1万2800 ギリシャ、英国

(*) 国際オリンピック委員会(IOC)のホームページによると、1964年の東京五輪のランナーの数がこのように多く記録されているのは、同大会では、1キロごとに1人の聖火ランナーと2人の控えランナー、20人の付き添いがついて聖火リレーが行われたため。
(**) 護衛も含む。

Source: International Olympic Committee(IOC)


初の聖火リレーは1936年

2012年ロンドン五輪の開幕に向けて、英国全土を巡る聖火リレーが行われている。先週末にはマン島に、更に今週初めには北アイルランドに達したが、金曜日(8日)には英国本島に戻り、今度はスコットランドを旅する予定である。  

五輪の聖火の起源は、古代ギリシャのオリンピアで行われた古代オリンピックに遡さかのぼる。古代オリンピックでは、神々の世界から火を盗んで人類に与えたギリシャ神話の神プロメテウスを称え、大会期間中を通して、主神ゼウスの妻ヘラの神殿で火がともされ続けていた。五輪の競技場の一角で大会期間中、火をともし続けるというこの習慣は、1928年のアムステルダム五輪で復活し、更にナチス政権下のドイツで1936年に実施されたベルリン五輪で、初めて聖火リレーが行われた。以降、現在に至るまで、聖火リレーは、五輪に欠かせない行事として続けられている。

1日に110人が300メートルずつ走る

今回のロンドン五輪でも、伝統に則ってオリンピアのヘラ神殿跡で採火式が行われた後、聖火は、5月19日にイングランド南西の端であるランズ・エンド岬に到着した。これを、7月27日の五輪開会式までの70日間で、8000人のランナーが、8000マイル(約1万2800キロメートル)の距離を走り抜いた末、ロンドン東部ストラトフォードの五輪会場に届けることになる。一般人の聖火ランナーの多くは、ロンドン・オリンピック組織委員会(LOCOG)などが行ったコンペティションで、チャリティー活動などの功績を認められ、選ばれた人たちである。1日に走るランナーの数は110人ほどで、それぞれのランナーに割り当てられた距離は平均300メートルであるという。

聖火リレーのルートは、まさに英国の津々浦々を巡るものであり、LOCOGによると、「英国の全人口の95%の人が、居住する場所の10マイル(約16キロメートル)以内を聖火リレーが通過することになる」そうである。イングランド北部に残るローマ時代の遺跡であるハドリアヌスの壁や、同南西部の古代遺跡ストーンヘンジなど、英国の多くの名所を通過する点も興味深い。

トーチはデザイン大賞受賞

また、聖火リレーのトーチ(たいまつ)は、ロンドン東部を拠点とするデザイナーであるエドワード・バーバー氏とジェイ・オスガービー氏がデザインしたものである。素材に軽量のアルミニウム合金を使い、表面には、8000人の聖火ランナーを表現するため、8000もの穴が空けられている。そのため、長さは80センチもあるが、重さは800グラムに抑えられている。このトーチは、今年4月、ロンドンのデザイン・ミュージアムから、「2012年デザイン大賞」を受賞している。

聖火リレーが行われることの利点は、何と言っても、その経過を追う日々の報道などを通して、五輪開催に向けて人々の気持ちを高めることができる点であろう。いよいよあと7週間後に迫ったロンドン五輪。英国各地を駆け抜けてオリンピアの火を届ける聖火ランナーたちを応援しながら、開催の日を心待ちにしたい。

1936 Summer Olympics

1936年にナチス政権下のドイツ・ベルリンで開催された夏季五輪大会。ヒトラー総統は、五輪を、ナチス政権の権威を見せつけ、また古代ギリシャ人がドイツのアーリア人の先祖であることを印象付ける機会として捉えていたと言われる。聖火リレーのアイデアを考えたのは、同大会の事務局長であったカール・ディエムという人物。聖火は、1936年6月30日にオリンピアのヘラ神殿跡で行われた採火式で点火された後、ハンガリー、オーストリア、チェコスロバキアなどを通過し、ドイツに到着した。このときのトーチは、2度の大戦でドイツの兵器を製造したクルップ社が作った。

(猫山はるこ)

 
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