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Fri, 23 June 2017

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

第9回 速報、動画、コラムがお勧め

fastFT
速報が入ってくる「fastFT」(FTのウェブサイトより)

これまでに「フィナンシャル・タイムズ(FT)」の様々な面を紹介してきましたが、いざ手にしてみると、一体どこから読んだらいいのでしょうという声をよく聞きます。

英語は苦手だけれどもFTの記事を読みたいという方には日本経済新聞に掲載されているFTの翻訳記事がお勧めです。FTの報道はストレートなニュース記事と多彩な論旨が展開される論説記事の2本立てになっていますが、翻訳記事を通してFTのジャーナリストや世界中の論客による論考を読むと、日本国内の議論とは一味違う国際情勢や経済の行き先を一歩先に知ることができます。

論説面に登場する最も著名な記者が、優れた経済分析で知られるマーティン・ウルフ氏。2008年の世界金融危機を予見した一人です。政治記者フィリップ・スティーブンス氏の記事も見逃せません。

日経以外にもビジネス系のニュース・サイトにFTの翻訳記事が掲載されていますので、探してみてください。

英語で読みたいけれど長い記事は苦手という方には速報コーナー「fastFT」はどうでしょうか。ウェブサイトの隅っこにあるコーナーで、刻々と入ってくるニュースを短く伝えています。見出しと最初の1つか2つの段落内で概要が分かるようになっています。経済に関心のある方はいくつかのキーワードや数字で何が起きているのかを推測できるはずですよ。

EUに残留か離脱かで先日、国民投票がありましたが、ホットなニュースが発生したとき、もし英語のリスニングが苦手でなければお勧めしたいのは動画(http://ft.com/video)です。3分から5分ほどで何が問題なのかが分かります。長い分析記事を読まなくていいのですから、時間の節約にもなりますね。

原文で読みたいという方にはトップ記事をまずお勧めしたいです。聞いたことがないような会社の合併の記事は避けてくださいね、読んでもきっとつまらないでしょうから! 先の国民投票の話やそのほか、ある程度ビッグ・ニュースになっているトピックを扱う記事を選んで読んでみると、ストレートで要領よくまとまっていることに気付くはずです。経済専門紙であるため引用されている数字は信用できますから、資料としても使えますね。

FTに慣れてきた方、英語に自信がある方には週末版(土曜日発行)の「Lunch with the FT」という長めのコラムをお勧めします。政治家、起業家、NGO運動家、アーティスト、映画俳優など、様々な著名人がゲストとなって、FTの記者が昼食を共にし、そのときの会話を種にして書くコラムです。最近では米映画俳優ショーン・ペンが登場していました。このコラムは書籍にもなっています。

週末版は平日版より高くなりますが、一度買ってみると、経済紙とは思えないほどのバラエティーに富んだ内容に驚かれるかもしれません。「FT Weekend Magazine」という雑誌が付いてくるのですが、人気コラムの一つがFTの記者がスポーツ、ヨガ、絵画など様々な分野の専門家に教えを乞い、実際に体験してみる「FT Masterclasses」というコーナーです。

経済や金融の専門家だけではなく、一般の読者も楽しめる記事も満載のFTの世界にぜひ足を踏み入れてみてください。

 
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小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

「フィナンシャル・タイムズの実力」(洋泉社)
日本経済新聞社が1600億円で巨額買収した「フィナンシャル・タイムズ(FT)」とはどんな新聞なのか? いち早くデジタル版を成功させたFTの戦略とは? 目まぐるしい再編が進むメディアの新潮流を読み解く。本連載で触れた内容に加えて、FTに関するあらゆることが分かりやすく解説されている一冊。

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