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Mon, 03 August 2020

英国ニュース解説

最終更新日:2012年9月26日

学生ビザ制度の変更が発表に

連立政権の移民削減策の一環で
学生ビザ制度の変更が発表に

英国に滞在する外国人にとって移民制度の変更は大きな 関心事であるが、現政権は、選挙前の公約通り、移民制限策を着々と実行している。今回は、昨年の労働ビザ発給数制限に続き、最近発表された学生ビザの制度変更について取り上げる。

学生ビザ制度の変更(一部)2011年3月22日発表

1.  2011年4月導入の措置

  • 学位レベル以上のコースに入学する学生の英語 力の要件を、「欧州言語共通参照枠組み(CEFR)」 (*) が規定する「B1」から「B2」に引き上げる。学位 レベル以下のコースに入学する学生の英語力の要 件は「B1」とする。

(*)欧州評議会が制定する外国語学習の習熟度に関する指標。Common European Framework of Reference for Languages。

2.  2011年7月導入の措置

  • すべての学生ビザ申請者は、ビザ申請時、英国滞在中の学費及び生活費に充てるとして銀行の残高証明によって示した資金が、実際に英国生活中に使える資金であることを確認する声明書に署名することを求められる。
  • 大学または大学院の学生は、週20時間の就労を許可される。公立の継続教育カレッジ(further education college)の学生は、週10時間の就労を許可される。(**)
  • 大学または大学院、公立の継続教育カレッジ以外の学校に通う学生は就労禁止。(**)
  • 学生ビザ保持者の配偶者としてビザの発給を受けることができるのは、1年以上のコースに通う大学院生の配偶者に限られる。(**)

(**)は、新たに学生ビザを取得した者のみに適用される規定。既に学生ビザを保持している者は、新規定導入後も、従来通りの権利を維持できる。

3.  2012年4月導入の措置

  • 学生ビザのスポンサーとなる学校は、「信頼度の高い学生ビザ・スポンサー(highly trusted sponsors)」として国から認定された教育機関に限定される。
  • 学位レベルのコースに通う学生が学生ビザで英国に滞在できる期間を、最高5年までに制限する。
  • 英国の大学・大学院卒業生に、卒業後、英国内での2年間の就労を許可する「ポスト・スタディー・ワーク」の制度を廃止する(ただし、労働ビザを取得すれば、学生ビザから労働ビザに切り替え、大学・大学院卒業後に就労することが可能)。

4.  2012年末より導入の措置

  • 学生ビザのスポンサーとなる学校はすべて、「信頼度の高い学生ビザ・スポンサー」の地位を得ることに加え、教育水準監査院(Ofsted)などの監査機関から良い評価を受けていることが求められるようになる(新たに学生ビザのスポンサーとなる学校に対しては、2011年4月よりこの規定が適用される)。

Source: UK Border Agency

英国への移民に対するビザ発給数の推移

ビザ発給数の推移

(*)労働ビザ、学生ビザ、家族ビザの各カテゴリーでのビザ発給数の推移。申請者本人へのビザに加え、配偶者に発給されたビザも含む。ビジター・ビザ、トランジット・ビザは除く。

Source: Office for National Statistics, Home Office

学生の就労規定を厳格化

現在、自由民主党と連立政権を組んでいる保守党は、昨年5月の総選挙に向けたマニフェストで、欧州経済領域(EEA)の加盟国以外の国から来る移民の数を、「年間数十万人規模から数万人程度に 減らす」ことを公約に掲げていた。この方針に沿って、政府は昨年11月に早速、前労働党政権が導入した移民規制制度であるポイント制度下での労働ビザ発給数を制限することを明らかにした。これに続き、テリーザ・メイ内相は先月下旬、下院で、昨年から検討されていた学生ビザの制度変更の詳細を発表した。

今回明らかになった制度変更の内容の一部を挙げると、まず、学生ビザのスポンサーとなる学校は、「信頼度の高い学生ビザ・スポンサー(highly trusted sponsors)」として国から認定されており、かつ、教育水準監査院(Ofsted)などの監査機関から良い評価を受けていることが求められるようになる。また、学生ビザ保持者の就労の権利については、大学生は従来通り週20時間まで、公立の継続教育カレッジの学生は週10時間までと規定。しかし、大学または公立の継続教育カレッジ以外の学校、つまり語学学校などの学生は就労禁止となった。更に、学位レベルのコースに通う学生が学生ビザで英国に滞在できる期間は、最高5年までに制限されることになった(学位以下のコースの場合、従来通り3年まで)。

「7人に1人が就労目的」との調査も

内務省によると、学生ビザ発給数は過去10年で倍増しており、2009年には30万を超えた。この数字は、ポイント制度下で発給されるビザのうち実に約3分の2を学生ビザが占めていることを意味する。  

しかし、これらの中には、渡英の目的が学業ではなく就労であり、英国への入国手段として語学学校などに入学し、学生ビザを取得する者が多く含まれていると考えられている。最近の報道によると、語学学校を含む民間の学校の学生の7人に1人が、就労を目的として英国に滞在していると考えられるとの調査結果も出ている。こうした背景から、学生ビザ制度厳格化による「偽学生」の取り締まりは、移民流入数の制限という政府の方針の実行において、極めて重要な位置を占めていることがうかがえる。  

なお、今回発表された制度変更は、教育機関及び学生への混乱を最小化するため、今月21日より、段階的に導入されることになる。政府は、新制度の導入で、学生ビザ発給数を年間7万〜8万件削減できると推定している。

永住権、家族ビザの制度も変更へ

労働ビザ、学生ビザに続き、政府は今年後半から、外国人への永住権付与制度及び家族ビザ制度についても、規制強化を目的とした意見集約作業を行う見込みである。学生ビザの制度厳格化に 対しては、語学学校はもちろん、大学からも、「『ポスト・スタディー・ ワーク(Post-Study Work)』制度の廃止(上記及び「関連キーワード欄」参照)で、海外の学生にとっての英国の大学の魅力が薄れる」 などの批判の声が上がっている。しかし、そうした声も耳に届かないかのごとく、連立政権による移民制限策は、迅速に、そして着実に進められている。

Post-Study Work

英国の大学または大学院を卒業した外国人留学生に対し、卒業後2年間、労働ビザを取得せずに英国で就労できる権利を与える制度。前労働党政権が2008年に移民労働者の規制制度であるポイント制度を開始した際、「外国人大学卒業生就労許可スキーム(International Graduates Scheme)」及びスコットランドの同様の制度を統合して創設された。ポイント制度では、「1階層(Tier1)」に区分される。本文で述 べたように、連立政権はこのほど、本制度の廃 止を決定した。2009年の本制度の利用者は3 万9000人に上った。

(猫山はるこ)

 
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