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Thu, 20 September 2018

スコットランドで最低価格導入案など
酒類の安価販売規制の試み

健康への害は言うまでもなく、公共物破壊などの犯罪等、社会に様々な悪影響を及ぼすのが飲酒であるが、それを助長しているのが、スーパーなどでの酒類の安価な販売であると言われている。こうした現状を改善するため、英国では現在、最低価格導入の試みが行われようとしている。

スコットランドで1ユニット当たり45ペンスの最低価格が導入された場合の
価格の変動

アルコール類の種類
(括弧内はアルコール強度)
現在の値段(*) 最低価格導入後の値段
700mlのジン(37.5%) £6.95 £11.85
700mlのウォッカ(37.5%) £8.35 £11.85
2リットルのサイダー(4.2%) £1.20 £3.75
700mlのウィスキー(40%) £12.00 £12.60
440mlのラガー4本パック(5%) £3.00 £3.95
750mlの白ワイン1本(12%) £3.75 £4.20
750mlの赤ワイン1本(13%) £3.75 £4.20

*「現在の値段」は、それぞれの酒類の小売店での標準的な小売の値段を示したものと思われる。
Source: Scottish Government

英国人の1日当たりの飲酒量の最高値(2009年調べ)

飲酒量 年齢
16〜24歳 25〜44歳 45〜64歳 65歳以上 全体

調査の前週には飲酒しなかった 45% 30% 28% 34% 32%
4ユニットまで 19% 27% 31% 45% 31%
4〜8ユニット 11% 17% 20% 15% 17%
8ユニット以上 24% 27% 21% 5% 20%

調査の前週には飲酒しなかった 50% 41% 41% 57% 46%
3ユニットまで 13% 23% 27% 32% 25%
3〜6ユニット 13% 17% 20% 9% 16%
6ユニット以上 24% 19% 11% 2% 13%

* 調査の前週のいずれかの日で、最も多く飲酒した日に、何ユニットの酒類を摂取したかを聞いた。
Source: General Lifestyle Survey, Office for National Statistics


ソフト・ドリンクよりも安く販売

英国では、かねてから、酒類の安価な販売が問題視されている。問題とされているのは、パブやバーなどではなく、主にスーパーマーケットやニュースエージェント(食品雑貨等販売店)などでの酒類の販売である。これらの店では、ビールやサイダー(りんご酒)などが、ソフト・ドリンク類よりも安く売られていることが珍しくないため、過剰な飲酒を奨励しているとして、しばしば非難の対象となっているのである。こうした安価な酒類は、「プロブレム・ドリンカー」などと呼ばれる、日常的に過剰に飲酒する人々に好まれており、彼らが寿命を縮める原因になっていると言われている。

昨年は1ユニット最低45ペンスと提案

このような状況を改善するため、スコットランドでは、スコットランド国民党(SNP)率いる自治政府が11月1日、スコットランド内で販売される酒類に最低価格を導入することを提案する「アルコール最低価格法案(Alcohol Minimum Pricing Bill)」を議会に提出した。スコットランドでは、去年も自治政府が同様の試みを行おうとしたが、野党の反対で頓挫している。

また、これとは別に、イングランド及びウェールズでは、来年4月より、すべての酒類について、酒税及び付加価値税(VAT)を合わせた額を下回る額での販売が禁じられることになる。例えば750ミリリットルのワインであれば、その750ミリリットルのワインに課せられている酒税及びVATを合計した額以下で販売することは違法となる。

スコットランドの法案には、自治政府が提案する酒類の具体的な最低価格は盛り込まれていない。しかし、昨年に最低価格を導入しようとした際、自治政府は、1ユニット当たり45ペンス(約54円)に設定するとの意向を明らかにしていた(政府が今回提案する最低価格は、来年初頭に明らかにされる見込みである。酒類の「ユニット」については、「関連キーワード」を参照)。自治政府によると、1ユニット当たり45ペンスの最低価格が導入された場合、例えばアルコール強度4.5%の2リットル入り1.20ポンド(約144円)のサイダーは、3.75ポンド(約450円)に値上がりする。一方、イングランド及びウェールズで導入される措置では、アルコール強度37.5%の1リットルのウォッカならば10.71ポンド(約1285円)、同4.2%の440ミリリットルのラガー・ビールならば、38ペンス(約45円)を下回る値段で販売することは違法となる。

医療費年間550万ポンド削減か

スコットランド自治政府は、最低価格を導入した場合、最初の1年間だけで、飲酒関連の死亡数がスコットランド全体で55件減り、政府の医療費負担は年間で550万ポンド(約6億6000万円)も削減されると述べている。一方、イングランド・ウェールズでの措置に関しては、「導入されても、依然として酒類の安価な販売が可能であり、効果がない」などの批判が出ている。

なお、今回は字数の都合で本稿に盛り込めなかったが、スコットランドでの計画については、関税などに関するEU法に抵触するとの指摘も出ており、法案の行方に一層、注目が集まっている。

Unit of alcohol

「ユニット」とは、酒類に含まれる純アルコール量を量る単位である。英国では、純アルコール10ミリリットルが1ユニットと規定されている。酒類のユニット数は、ミリリットルで表した酒類の量に、パーセントで表したアルコール強度を掛け、その数字を1000で割ることによって得られる。ユニット数の目安としては、500ミリリットルのラガー・ビールが約2.5ユニット、大グラスのワインが約3ユニット、ウィスキーのシングルが1ユニット程度である。英政府が推奨する飲酒量の限度は、男性が1日3〜4ユニットまで、女性が1日2〜3ユニットまでである。

(猫山はるこ)

 
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